プライドばかり高くなっていませんか? 「こじらせた」人たちの末路とは

2014/1/26

カフェでよくかかっているJーPOPのボサノヴァカバーを歌う女の一生

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 扶桑社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:渋谷直角 価格:926円

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「どんな夢でも必ず叶う」と言い聞かされてきたのに、大人になると現実は厳しく、気付ければ、周りの友達は死んだ魚のような目をしながら毎日満員電車に揺られている。「いい加減、諦めなよ」と笑われても、自分の夢は叶うはずだと信じ込み、「今に有名になってやるから見てろよ」と胸に誓う。そんな風に自分を奮い立たせながら、夢を追い続ける人は決して少なくはないだろう。だが、成功者は一握り。上手く行かない夢追い人は目もあたられないくらい痛々しく、プライドばかりが高くなってしまうことだってある。

渋谷直角著『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』は、理想と現実のギャップに苦しむ人達の短編漫画集。この作品は「タイトルだけ大賞2013」でヨシナガ賞を受賞したように、タイトルのインパクトが絶大だが、表題以外にも「空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋」「ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園」「口の上手い売れっ子ライター/編集者に仕事も女もぜんぶ持ってかれる漫画」という個性的な3作品が収められている。サブカルを気取っている人間が嫌いな人には痛快! と話題のようだが、夢を追う者達にとっては、残酷な結末に胸がえぐられたような気分になること間違いない!この本は紛れもないホラー。ゾッとさせられる作品だ。

デビューを目指す35歳の女性歌手。ダウンタウンに心酔し、お笑い芸人を目指すフリーター。バンプオブチキンを愛し、詩人を目指す男…。この短編集の主人公達は皆、何らかの夢を追っているが、大した努力はしていない。彼らに追い風が吹くこともあるが、結局はせっかくのチャンスも失ってしまう。だが、自尊心はどんどん膨らんで行く。どうして周りが自分を評価してくれないのだろうか。どうしたら、自分の才能を周りに理解されることができるだろうか。例えば、表題の作品の主人公カーミィは、友人がエイベックスのオーディションの最終審査に残ったということに焦り、プロデューサーに強要された変態プレイに耐えて「J-POPのボサノヴァカバー」アルバムに参加する一歌手としてのCDデビューを掴みとった。人の視線ばかりを気にするも、自分自身を高める努力をしようとはせず、手段は問わない。

ここまでどつぼにハマることはなくとも、誰も自分を理解してくれないと苦しむことは誰にだってあるだろう。自己顕示欲や承認欲求が肥大化したのがこの作品集に登場する主人公達の姿。「こじらせてしまった」彼らの姿を誰が笑うことができようか。アナタだって、一歩間違えば、周りに嘲笑されているかもしれない。そうならないためにも夢を叶えたいなら、口にするだけではなく、日々努力しつづけねばならない。さあ、背筋が凍るような現実ホラーを、アナタもとくとご覧あれ!


人と比べてばかりして焦っていてる

デビューできるなら手段は問わない

こじらせてしまった人は指摘されてもなかなか受け入れられない

主人公達の困った姿に笑わされてしまう

夢を見ることは決して悪いことではないけれど…こうはなりたくないなあと思わされる
(C)渋谷直角/扶桑社