タイトルの勝利! 日本の労働システムをソフトに糾弾!

公開日:2014/1/26

あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 東洋経済新報社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:日野瑛太郎 価格:864円

※最新の価格はストアでご確認ください。

これはまさにタイトルの勝利でしょう。「あ、」で点を打ったあたりのセンスが抜群。面接時もしくは研修前の若者がいかにも無邪気に上司に言い放ったという感のこのフレーズ。そして誰もが全く同じフレーズを考えたこと、あるはずです。

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日本が上向きだった時代に生まれ、親世代が終身雇用当たり前、大学を出て良い会社に就職し、30年ローンでマイホームを買って1社に勤め上げる人生が「良し」という価値観のなかで育ってきた人々(私も含め)には、あまりにあまりなこのフレーズ。だって「やる気」「やりがい」派ポジティブワード=善では? やりがいのある仕事なら、多少のことでも我慢して……。というような従来の考え方、労働の仕方を根本から問いただす1冊です。

私の住むスペインのように「今日が楽しければよし」という享楽的な人生観はその両極端な例ではありますが、海外に出てみると、日本の働き方の異常さがわかるというもの。「過労死(Karoushi)」という言葉が英語の辞書にも載るようになってしまった昨今、日本の仕事場の質も量も明らかに変わってきています。

経済市場も世界を支える主義や概念や一般常識も、これまでの指標を当てはめられない状況にきた世の中。その中で、では「社畜」にならないために、日本でどうやって生きてゆけばよいのか。恐らく、50代以降には激憤の内容、30代から下には「よくぞ言ってくれた」的主義主張です。

実は著者の言う会社と個人の距離は欧米ではスタンダードな考え方。日本の労働者条件がようやく欧米並みに主張できるようになってきたととるか、経済の衰退がやる気のない人間を生み出してるとみるか。読後感で、今、自分がどんな風に働いているのかを試せるような気がします。それにしても「社畜」という言葉、怖いです。


そういえば「サービス残業」という言葉も日本語独自で外国語には訳せないかも

「あるある」だらけなフレーズが散りばめられて

ようするに幸せ感が一気に多様化しているのかな

ときどき出てくる挿絵が面白いです