合言葉は「誰も損をしない!」 中小企業のブランドをサムライが切る
更新日:2014/2/13
「ブランドとは人に伝えるための手段だ!」
こう言い切るのは、「サムライ日本プロジェクト」代表をつとめ、地場産品のブランドづくりで地域をまとめる、著者の安藤さんだ。このご時世、「モノ」を売ることばかりを考えていたら価格競争に巻き込まれ、小さな会社は消耗するばかりだ。「モノ」ではなく「こと」を売らなくてはいけない。では「こと」とはいったい何なのか。それは商品にまつわるストーリーや、社長のこだわり、職人さんの技だという。そして「こと」が伝わった時には商品の価値が変わるというのだ。本書は、この価値の変わる瞬間とそのノウハウを伝えてくれる。
地域ビジネスがうまくいかないのには、共通する問題がある、と安藤さんは言う。それは「妄想の中にゴールを見つけようとしていること」。
情熱はあるが、一瞬の盛り上がりだけで消えてしまい、続かない。補助金が出て地元の原材料を使った商品を開発しても、作ることがゴールになってしまい、使ってもらうことが視野に入っていない。「○○名産」などのブランドシールを貼れば売れると勘違いしてしまう。誰が買ってくれるのか、どこで売るのかが具体的に計画されていないという共通点があるという。
ビジネスは、熱い想いで突っ走ることではなく、利益をきっちりと生み出さなければ失敗なのだ。なぜなら、ビジネスとして利益が出なければ継続的な活動はできず、せっかく協力したのに駄目だったと地域の人たちのモチベーションも下がってしまうからだ。
地域ブランドをつくる際に、メンバーに加わった磯辺ろうそく店(愛知県)の磯辺社長は地域ブランドの現状を次のようにいう。東京から来た中小企業診断士やコンサルティングの先生の話は、「こうするといいよ」という話はしてくれるが、当事者からすれば現実を知らない上での空論のように思えてしまうし、デザイナーもマーケットを切り開いてどこかへ行ってしまう。行政中心に立ち上げをしても「みんな集まれー」の寄り合い所帯になってしまい、コンセプトが薄れ、特色がなくなってしまう。熱意があるし行政の立場からすると断れないのだけどね。と…
しかし、安藤さんの「サムライ日本プロジェクト」は違った。コンセプトにあわなければメンバーに入りたくても入れない。その代わり、買う人にやりたいことが明確に伝わるものだったのだ。
では、そのコンセプトや条件とはいったい何なのか。今まで見向きもされなかった地域の商品が、表参道ヒルズに置かれるブランド商品となるための要素とは何なのか。本書には、それも含め、その日から実践可能な対策が書いてある。BtoCでサービスを行う人はもちろん、ブランディングに興味のある人には必読の1冊だ。
売上月100本から月1万本へ
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ブランディングとはいったい何なのか