波乱の人生を歩んできたセラピストと内田也哉子の、優しく易しい育児書

公開日:2011/10/13

親と子が育てられるとき 〜QuietGarden〜

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 岩波書店
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:内田也哉子志村季世恵 価格:637円

※最新の価格はストアでご確認ください。

今年春の内田祐也逮捕の最の樹木希林の会見に度肝を抜かれた人も多いのではないでしょうか。ロックンローラーと大女優の夫婦の絆の超越度というのは、並大抵のものではありません。そして、血は続き、ふたりの子供である也哉子さん、モックンのカップルというのも、どの型にもはまらないような気がします。

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華やかな芸能界に属するカップルなのに、その姿があまり伝わらないこともあり、純粋に「覗き見根性」での購読です。モックンと、也哉子さんの子育て、どうなんだろう? と。

本書は、「癒しの森」を主宰するセラピスト、志村季世恵さんとの子育てをテーマにした対談をまとめたもの。最初と最後に挟まれた美しい文面のお互いを賛美している書簡が少々、誇張が過ぎるように思いますが、なんの。お二人の「ムード」というのはこういうものなのでしょう。母親になれば誰もが通る通過儀礼、「キレる」「発狂する」「怒鳴る」「孤独にさいなむ」などという、それまで非日常的だった感情と常に隣り合わせの育児も、柔らかムードのお二人が語ると、まるで違う作業のようです。

子供が出来ることで生まれる夫婦の溝や、それを埋めてゆく法、子育てと仕事の両立などなど、女性がことに好むテーマをお二人が癒し度満載に優しい口調で意見交換をしてゆくスタイル。その中で、ちらりちらりと見え隠れする本木夫妻の、近くて遠い日常生活感がなんとも巧妙に読者の興味を掻きたててくれます。

読了後思うのは、「やっぱりあの人たちは違うな~」という感心よりも、「なーんだ、子育てを前に、誰もが同じなんだ~」という安心感。まさに、志村さんの主宰する「癒しの森」にお世話になるのと、同じ効果なのでは。次に読書をするならば、也哉子さんの本よりも、志村さんの本に興味が湧きました。

波乱の人生を歩んだ後のセラピストの言葉には、優しい重みがあります。「時間はないけど救いが欲しい」育児中の軽い読書にはもってこいの30分で読める癒し本です。


あんな激しいお父さんを持つ也哉子さん。全編に通じる彼女の落ち着きが印象的

まるで小説のような出会いと恋人時代。それでも悩みは生じるんですねぇ

ポツリと挿入される二人のスナップもユルくいい感じ

樹木希林さんの子育て法にも興味をそそられます