たとえ彼女との友情が1週間ごとにリセットされても…
公開日:2014/2/17
一週間フレンズ。 1巻
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : スクウェア・エニックス |
ジャンル:コミック | 購入元:BOOK☆WALKER |
著者名:葉月抹茶 | 価格:500円 |
※最新の価格はストアでご確認ください。 |
小学校のときには小学校の友達がいて、中学に上がると中学の、高校になると高校の友達にかわる。もちろん、なかには小学校からずっと親友という珍しいケースがあったり、転校や進路が違うからという事情があったりすることも承知していますが、やはりよく遊ぶ友達というのは、小中高と…もしかしたら、クラス替えごとにゆるやかに変わっていくのが、たいていじゃないかと思います。
友達のつながりを学校制度がぶつ切りにしているといえますが、逆にいえば、新しい友達をつくる機会が与えられている、ともいえます。人生は出会いと別れの連続とはよくいわれること。そのための経験だという考え方には、なるほど一理ありそうですが、しかしですよ、さすがに「1週間」は短い! 何のことか? 友達関係を深めることができる期間です。
さて、本作のテーマは、1週間でどこまで友情が深められるのか。登場人物は至ってシンプル。高校2年の藤宮香織(ふじみや・かおり)さんと、そんな彼女に気がある同クラスで主人公の長谷祐樹(はせ・ゆうき)くん。寡黙な藤宮さんはクラスの誰とも交流せず、浮いた存在。ある日、そんな藤宮さんと「友達になりたい」と火がつく長谷くん。それ、恋だろ。ホントに「友達になりたい」でいいの? というツッコミも、長谷くんの奥手ぶりに控えておくとして、なぜ藤宮さんに友達がいないかがポイントです。
そう、彼女の特異な体質は「友達との記憶を一週間でリセットしてしまう」からなのです。月曜日に友達になって、火曜日から友情を一日一日深めていっても、翌週の月曜日には「あなた、だれ?」に戻ってしまう。そんなツライ経験をするのならと、友達を断った藤宮さんの事情を知った長谷くんは、「俺が何回だって友達になってくださいって言いに行くから」と全部受け入れて、月曜日がくるたびに、藤宮さんと“新しく”友達になります。藤宮さんは、“先週の自分のため”に日記で長谷くんとのことを自分に伝えようとするなど、努力をしますが…。
ホワホワした絵柄と空気感は、4月からスタートのテレビアニメ版でも存分に生かされるようです。とっつきやすい絵柄に、大半は4コマ形式が入り混じった読みやすい構成ながら、学校やクラスがかわるたびに私たちが味わってきた、心の奥にチクっとくる切なさと、新しい出会いへの期待感が小波のように何度も押し寄せる本作は、見た目以上にキオクに残ります。
【『一週間フレンズ。』TVアニメ公式サイト】
http://oneweekfriends.com/
クラスで浮いた彼女だから? 「友達になりたい」と長谷くん
全体の半分ほどは、このような4コマ形式
事情を知らされた長谷くん
「俺が何回だって友達になってくださいって言いに行くから」
翌月曜日の藤宮さん。敬語交じりのよそよそしさ。2人はどうなっていくのか