あふれんばかりの“鉄”分!

更新日:2014/3/3

ゆりてつ〜私立百合ケ咲女子高鉄道部〜 〈1〉

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:松山せいじ 価格:432円

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 サブタイトルにもあるので、まあ断るほどのことでもありませんが、『ゆりてつ』は女子校の鉄道部のお話です。「ゆり」って聞くと、なんとなく女の子同士でいちゃいちゃするのがメインの話なのかな、と期待する層もいらっしゃるとは思います。それはそれで、あながち間違いでもないのですが、『桜Trick』というよりは『けいおん!』に近いノリかなという印象。

 主人公の日野はつねさんが、高校入学と同時に立ち上げたばかりの鉄道部に入るのですが、この時点では全然鉄オタではありません。メンバーの、駅弁鉄の石塚まろんさんや、撮り鉄の能登まみこさんや、乗り鉄の鶴見はくつるさんに振り回されるばかり。楽器のことなんてわからなかった『けいおん!』の平沢唯ちゃんが、軽音楽部に入っていくのと通じるものを感じます。

 ただ、本作は高校生活の話ではありません。一応、JR中央線の立川駅と豊田駅の間に百合ヶ咲女子高前という架空の駅があって(場所としては日野駅あたりだろうけど、駅舎のモデルは高尾駅かな?)、学校もその近くという設定ですが、部室でぐたぐたという物語ではないのです。

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 毎回、彼女たちは全国の有名な鉄道、列車、駅、食を求めて旅します。学校内の描写はまったくといっていいほどありません。1エピソードにつき1旅、という具合です。ですのでお話の構成は『ぶらり途中下車の旅』の全国版という感じでしょうか。何しろ冒頭の出会いからして、まともな自己紹介は半ば騙されて乗車してしまった北斗星の車内という具合ですから。第1話にして、メンバー全員で北海道旅行っていうのはなかなか斬新でした。

 キャラクターデザインは好みの問題が大きいので触れませんが、『沈黙の艦隊』の艦船かと思うような描き込まれた鉄道の数々は、それだけでも一見の価値があると思います。


学校最寄り駅。高架だし日野駅っぽいけど、駅舎は高尾駅っぽい

せっかくだし、というすごい理由で冒頭から北海道へ

そして列車は上野を発ち、車内で自己紹介

通勤電車なんてどれも一緒でしょ? では済まないこのこだわり!