日本の草食男子は理想の未来? 女性的な感性が地球を救う!

更新日:2014/4/14

女神的リーダーシップ ~世界を変えるのは、女性と「女性のように考える」男性である

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : プレジデント社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:ジョン・ガーズマ 価格:1,296円

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 先日、「農」をベースに地域おこしと職能訓練、就労支援を結びつける三十代の女性社会起業家と知り合った。自分なりに感じた社会問題を出発点に、背伸びしすぎず自分のできる範囲の発想で解決をめざし、確実に多くの幸せを生み出していこうとする彼女。その姿勢は従来の多くの富を生もうとする垂直型(上昇志向、権力志向)のリーダーシップではなく、いわば水平型のリーダーシップというべきもの。実直で柔軟でしなやかでたのもしく、いわゆる大企業的な垂直指向に囲まれたバブル女の端くれの自分には、すてきな衝撃だった。

 本書ではそうした水平型のリーダーシップを「女神的」と称し、これからの世界を変えていくのは、いわゆる女神的、女性的なリーダーシップだと説く。女性的といっても柔和で感傷的ということではなく、男女問わず「つながり、謙虚、素直、忍耐、共感、信頼、肝要、柔軟性、弱さ、調和」といった資質を持つリーダーこそが、これからの時代に求められているという。そして、実際にイギリス、アイスランド、イスラエル、コロンビア、ケニア、インド、中国など世界13カ国の実情を取材し、各国で活躍する女神的なリーダーたちの奮闘ぶりを紹介するのだ。

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 国の発展段階によって程度に差はあるものの、どこの社会でも女神的な視点が現状打破の「突破口」となっているのは興味深い。たとえば発展途上国ではスラム防止のため、先進国では経済バブル崩壊後の社会立て直しにおいて、男女問わず「女神的」な感性が未来を作り出す。確かに「社会はこうして変わっていくのかも」とワクワクしながら、冒頭の彼女に感じたまぶしさに似た感覚を覚えた。

 実はこの本、3.11以降の日本も取材しているのだが、中でも印象的なのは震災時にすみやかに救援ネットワークをたちあげた青年ほか、若い男性が多く紹介されていることだ。ヒルズ族的なアグレッシブさとは対極にあるその風情は、静かでたのもしい。あわせて「草食化」にもふれているが、この文脈で考えると、まるで来るべき未来に向け、自ら変体して生まれたミュータントのようにも思えてきた。日本人おそるべし。


目次より。総論から各国の状況へ。日本を含む全13カ国の現状が取材されている

冒頭より。男性のみなさん、いかがでしょう

各扉には、表紙イラスト(『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ)が引用されている

グローバル調査で明らかになった、現在の社会の状況。どこも同じようなことを感じていそう…

グローバル調査で「女性的」とされた項目。これらを統合して、「女神的リーダーシップ」が定義されている

グローバル調査で「男性的」とされた項目。女性と比べると生きるの大変そう…
(C)ジョン・ガーズマ/プレジデント社