あまりに切ない。けれど、きっと幸せ…1人と1匹の“旅立ち”を描く、生と絆の物語

公開日:2011/9/4

星守る犬

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 双葉社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:村上たかし 価格:600円

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林道脇に放置された車の中で、死後1年以上が経過しているとみられる男性の遺体が発見された。その足元には、寄り添うように1匹の犬の遺体が。しかし、犬のほうはまだ死後3ヶ月しか経っておらず…。
  
こんな少々ミステリータッチのプロローグで始まる本作は、前・後編2つの物語で構成されている。

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前半の「星守る犬」は、捨てられた子犬が女の子に拾われるシーンから始まる。おとうさん、おかあさん、女の子に囲まれ幸せに暮らす犬。しかし何年もの月日を経て、いつしか家族の関係は元に戻れないまでに変質してしまう。
  
ひとりとり残される、おとうさん。 そして、犬のハッピー。
  
こうして、おとうさんとハッピーの“ふたり”旅がはじまる。それは、残された生を“ハッピー”なパートナーとともに謳歌する旅であった…。
  
一方、後半の「向日葵草」の主人公は深い喪失感を胸に抱え込んだまま、ひとりたんたんと生きてきた男・奥津の物語。ケースワーカーの彼はある日、警察の連絡をうけ、身元不明の男の遺体を弔う仕事を任される。
  
その遺体の側にはもうひとつ、犬の骸が。 そして奥津は、かつて自分が飼っていた犬に思いを馳せる…。
  
この話は、いわば“ふたり”に捧げる鎮魂歌だ。
  
一見、残酷な最期をとげたように思えるおとうさんの生をやさしく肯定し、輝きを与える役割を果たすと同時に奥津自身の再生の物語にもなっている。正直、私はこの作品が前半だけで終わっていたら、ここまで強く胸をうたれる作品にはなっていなかったのではないかと思う。
  
奥津は語る。
  
お父さんの最期は「うらやましいくらい幸せ」だったんじゃないか、と。
  
私もそう信じている。

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