格安でも“出る”アパートに住む覚悟がありますか?

小説・エッセイ

公開日:2011/10/14

妖怪アパートの幽雅な日常1

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:香月日輪 価格:432円

※最新の価格はストアでご確認ください。

高校生の主人公・稲葉夕士の成長と自立の物語。全10巻シリーズ。2004年に、第51回産経児童出版文化賞 フジテレビ賞受賞作品。

-中学1年生のときに両親が交通事故で亡くなり、伯父の家で育てられる。虐げられているわけではないが、本当の家族ではないという思いから、疎外感と居心地の悪さを感じていた夕士。はやく家を出たいと学生寮のある高校に合格したものの、入学を前にして寮が全焼。あがく夕士は、ふと出会った不動産屋に紹介してもらった格安アパートに住むことにしたが、そこは、いわゆる“出る”…というより“(例のアレが)棲んでいる”アパートだった-

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棲んでいる例のアレというのは、タイトルでお察しのとおり、妖怪たちなのですが、どの住人も聞くも涙のエピソードがあったり、人間以上に人間くさかったりと、ユニークな個性ばかり。そんな住人たちと触れ合うことで、夕士は人として成長し、自立していくのです。ホラーものではありませんので、ご安心を。

近年、家を出ずに実家暮らしを選択する若者が増えているという数字が、国ほかの調査結果で出ています。理由はさまざまで、所得が少ないからやむを得ず、というケースもあれば、「自炊が面倒なので」などという理由で家を出ないケースもあるようです。

文部科学省は、2002年以降実施の学習指導要領から「教育によって『生きる力』をはぐくむ」という方針をとっており、今年度(2011年)以降実施の新しい学習指導要領では、「生きる力」のはぐくみをいっそう強化する方針が打ち出されています。

この「生きる力」とは、「変化の激しいこれからの社会を生き抜いていく力」のこと。教育現場では「学びが実際に社会で役立つんだ!」と実感しながら、学びをますます主体的・積極的なものにし、将来の生活力獲得に結びつけていこうとしています。しかしながら、そんな経緯を経て、「いざ実際に自立(自活)だ!」といっても、さまざま横たわる社会の困難に独力のみで打ち勝っていくことは、ときに困難なことだってあるでしょう。

そんなときに助けになるのが周囲の人間(大人)です。
地域や近所関係の希薄化が指摘されている昨今ですが、本作『妖アパ』のように、理解のある近隣住人が前途ある若者の自立を助けて、生きる力を開花させていく、という光景は、これからの日本に求められる理想モデルといえるのではないでしょうか。


はい。僕も幽霊や妖怪を実際に見たことはないです。でも、お化けの話は怖いです!

こうして文字を大きくしたり…

…こうやって画面を横にして、文字を追いやすくするなどの工夫ができるのも、電子書籍の魅力ですね!

夢や目標を持つ若者はきっと強い!