吃驚仰天、抱腹絶倒。明治・大正・昭和に生きたあのエライお方は、かような変人であったのか!

公開日:2011/9/4

ニッポン奇人伝

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : インタープレイ
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:eBookJapan
著者名:前坂俊之 価格:648円

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明治、大正、昭和の偉人たちの逸話集。 登場するのはいずれもひと癖ある人物で、ギョッとするふるまいや病的な嗜好、性格の悪さなど、強烈な個性と奇行にびっくり仰天、抱腹絶倒。 永井荷風の変人ぶりとドケチぶりはあきれるべきか、あっぱれと言うべきか。 無賃乗車を自慢して一人悦に入るかと思えば、居候していた家では火鉢に雑誌をくべて暖を取り、抗議をされても「火災保険に入っているなら心配することもなかろう」と煙に巻く。 絶対に知り合いになりたくない、実にイヤな人物だ。

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泉鏡花の章を読めば、なるほどこの人にしてあの作品ありかと、思わず膝を打つ。 バイ菌をこわがるあまり、アルコールを浸した綿を入れて持ち歩き、日本酒も沸騰寸前の熱燗でしか飲まず、好物の豆腐も湯豆腐だけ。豆腐の腐は「腐敗」に通じるので、「豆府」と書いたそうな。 原稿用紙の上にハエが飛んでこようものなら、サア大変。 塩をまいて浄めたんだって。 神経質にもほどがある。 でも、この滑稽なまでの繊細さが「海神別荘」や「高野聖」といった、玉三郎好みの幻想的な戯曲や作品を生んだのだなと、歌舞伎好きの私は納得するのだった。 他にも南方熊楠、稲垣足穂、川端康成から宮武外骨、阿部定や吉田茂まで、型破りの奇人が総勢35人。 一話完結だから、通勤時間やちょっとした合間にサッと読めて、ムフフと笑える。 古い話だけど、案外スマートフォン向きかも!

「作家は奇人変人なり」の章タイトルで、個性の強烈な大作家がずらり。名前を見ただけで興味がそそられる

確かに「明治の奇人はケタ外れ」。昨今ブームの宮武外骨は、期待通りの奇行ぶりだが、どこか憎めない魅力あり!

昭和の奇人も負けていません。愛人のイチモツをちょん切るという猟奇事件を起こした阿部定のくだりは、刑務所を出所した後の坂口安吾との出会いがおもしろい!

永井荷風は、自ら「偏奇館主人」と称していた。自分でもわかっていたんだ。話を聞く分には愉快だけれど、ゼッタイにお近づきになりたくないタイプ。そういう人って、今でもいるね~

泉鏡花先生、いくら何でも神経質過ぎる。そんなにバイ菌、怖がってどうする。今の世なら抗菌グッズがいっぱいあってよかったのにね(C)前坂俊之