不可思議な連続怪事件。“閉じた平和”が切り裂かれる恐怖!

小説・エッセイ

公開日:2014/3/20

SOIL 1巻

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / エンターブレイン
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:カネコアツシ 価格:463円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 核家族化と言われて数十年。気がつけば、個人1人でひとつの核、という時代に突入しているようであります。ご近所どころか、家族付き合いも希薄…なんてこともあるのかもしれません。「昔は地域みんながつながっていた。すっかり、人情味が無くなった」という声も、よく耳にしたりしなかったり。

 村社会。きっとそんな時代は、たいそう住みやすかったに違いありません。日本昔ばなしのような世界であり、おしりを出したら1等賞です。

 しかし、不思議なことに現代人であるところの無意識は、まるで逆のイメージも喚起します。ある種の土着的な連帯感をもった社会には、ぬくもりより先にどこか違和感を感じてしまうのです。

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 守られている、保守的。…というよりは、閉鎖的、排他的。本作から真っ先に感じるのは、そんな気味の悪さです。

 舞台は地方都市“そいるニュータウン”。ある夜に起きた一家失踪をきっかけに、奇妙な事件が連続して発生していきます。食卓をそのままに失踪した家族や、突如出現する大量の岩塩塊、目撃された鱗のある謎の男…。事件というよりはもはや怪現象であり、警察も大いに頭を悩ませます。そして、ポッカリと消えた家族の行方を追うに連れ、露わになるのは街を巡る因縁。幸福そうな街に潜む闇がジワジワと物語を侵食していきます。

 頻発する怪事件も妙なことばかりですが、なんといっても街全体に充満した薄気味悪さが尋常ではありません。地方都市という村を支える“閉じた平和”。少しずつ歪んでいくのか、あるいは最初から歪んでいるのか。いやはや、おそろしい。

 なんともいえない気持ち悪さと恐怖を漂わせつつ、錯綜する謎。都市型人間におくる、至極のポップ・ミステリー・ツアー!!


忽然と消えた家族

残された奇妙な塊

突如出現する謎の山

不気味な鱗の男

閉じた平和の守護者

謎が謎を呼ぶ、ノンストップミステリー!