あなたは、村上春樹が好きですか? 嫌いですか?

小説・エッセイ

2014/3/20

謎の村上春樹 ― 読まなくても気になる国民的作家のつくられ方

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : プレジデント社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:助川幸逸郎 価格:1,080円

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 村上春樹に関する謎は、国民全般に共通した疑問ではないでしょうか。私の周りもみな必ず春樹を読みます。「みんなが読んでいるから読む」「話題になったから読む」「また出たから読む」という人がほとんどで熱烈なファンという人を見たことがありません。みな何か「何かがあるんじゃないか」と期待しながら春樹を読む。そして「ねーわかった、あれ?」という風な会話が交わされるのが常。

 結局は、好きか嫌いに終着するこうした談義ですが、私の住むスペインで、かつ私個人の生活圏に限って言えば、圧倒的に「好き」と結論づける人が多いのも、日本人の私には不思議でなりません。そうした「謎」を見事に解いてくれるのだろうと期待して本書を購入。春樹を語るのも、読むのも分析するのもまずはこの著者ほど読み込んでいなければならないと、読後「準備不足」を感じてしまったのも事実。

 著者の「謎」を解くべく論旨は文学論からの視点にとどまらず、トレンド、サブカルチャー、日本の近現代史、外国文学などと多岐に渡り、ある程度の知識がないと全部は理解できないかも。「謎」を問うのは簡単ですが、春樹はそれほど一筋縄ではいかない作家、ということがよくわかります。「村上春樹は文学界の“ベンチャー”である」「父親が出てこない小説」「“リアルを生きる”が“消費をかっこよく”だった時代」など、著者が立てる春樹の分析地点はなかなか秀逸。難しいけどおもしろいです。

 ですが、何しろまずは春樹をざっとおさらいしてから本書を読むことをオススメします。本書のような視点を持つと、これからの春樹作品の読書が結構変わってくるかもしれません。個人的には、春樹の小説の世界的成功というのは、彼の日本語が非常に「訳しやすい」という点が強烈に影響していると思います。訳者としても優秀な彼の言葉の言い回しは、非常に外国文学的なのでは。そのなかに何かそこはかとない日本語の曖昧さとアンニュイさが出る……。そんな小説だと、スペイン語の春樹を読んで思います。


確かに、彼の作品の国際的なマーケティングは素晴らしい

「春樹のメディア感覚の不気味なほどの新しさ」は名言かと

春樹の小説のはがゆさは「大切なことをはっきり書かない」から