「猫」にまつわる江戸人情でふくふく温々。寒の戻りもこれさえ読めば怖くない

公開日:2014/3/25

福来たる 江戸日々猫々

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 少年画報社
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:ねこしみず美濃 価格:525円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 昨今、西で東で、きな臭い空気が漂っています。普通に日々を過ごすだけでもひどく肩がこりそうなこのご時世、ふっと「癒されたいなぁ」と思う日もあるのではないでしょうか。そんな時にぜひともオススメしたいのがこちら、『福来たる 江戸日々猫々』です。暑苦し過ぎもせず、心地良い温度の江戸人情をぐっと身近に感じさせてくれる秘伝のスパイス、それが猫。猫が可愛いと思う気持ちに今昔の違いはありません。猫を見て相好を崩す老若男女に親近感が湧いてしまえば、癒しは約束されたも同然です。

 本作は、猫にまつわる江戸人情の短編集となっています。詳しくは以下のとおり

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第1話/4つ丸柄の猫は大火事の兆しで縁起が悪い。怖がられて人間に捕まった猫は、連れて行かれた神社の奥でひとり仕事に没頭する女性絵馬屋のお吉に出会い…

第2話/お千代と静馬(しずま)は捨て猫を拾った縁で幼馴染みに。しかし茶屋の娘と藩医の息子とで身分が違う。ある日お千代は静馬の家の者に静馬に近づくなと釘を刺されてしまって…

第3話/海産物を扱う乾物問屋の「中嶋屋」では、1匹の野良猫が出入りしていた。中嶋屋に居住する女中や庭師や剣術家たちはめいめいその猫を可愛がっていたが、ある日、厳格なご隠居が突然の来訪。猫がご隠居にバレる前に逃がさなければと3人の男女は別々に駆け回り…

第4話/猫が多く住む長屋に引っ越してきた少年、長吉。母の無関心に寂しい思いをしていたが、猫を追った縁で隣家の源と親しくなる。長吉は猫と源との賑やかな日々を楽しむも、母が家にいる時間は短くなり、やがて…

第5話/丹後からの江戸へとやってきたお七は夜中にひっそり宿を抜け出そうと試みる。それに気づいた若衆が止めるも、お七には「どうしても行きたい場所」があって…

第6話/小太郎は仕事の要領が悪い。ある日、兄貴分に「縁起の悪い4つ丸柄の猫」を捕まえて来いと話をふられるが…

 以上、1巻6話入り。区切られたコマ割りの中でのびのびと動き回る猫と、それにまつわるありふれた笑顔や人との繋りは、寒の戻りで冷えた指先と心をあたためてくれることでしょう。春とはいえ、少し肌寒い日にはぜひとも本作を読んで、ふくふくとおぬくもりください(笑)


第1話より。4つ丸柄の猫は縁起が悪い。三十数年前の大火事の記憶が未だに残る町人は、捕まえた猫を神社に持ち込みます

同じく第1話より。奥部屋に入れられた猫が出会ったのは、女だてらに絵馬屋に弟子入りをしたお吉さん。怖がる猫にもなんのその、腕をのばします(笑)

第3話より。こんな強面のお兄ちゃんも、猫の魅力にかかれば…

第3話より。アフター。劇的に顔がにやけるのも仕方ないですよね、だって猫ですからね。わかります。とても良くわかります…っ!