千葉県の女子高生は、勇者になったくらいで自分を変えない!

更新日:2014/3/31

あしたの今日子さん 1

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:いわさきまさかず 価格:616円

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 千年に一度、魔界の王がやってきて人間界の征服をもくろむとか、聖剣に導かれて勇者が立ち上がるとか。まあ、冒頭こそ和製ファンタジーのお約束みたいなものをなぞるのですが…。女子高生の今日子さんは、特に苦労することもなく、柏の駅前であっさり聖剣を抜いて3代目勇者になってしまいます。その上、勇者の誕生を阻止しようとした魔王くんに聖剣を投げつけて倒し、罵倒。とどめは魔王から千円かつあげして去っていくのです。力関係は圧倒的に最初から勇者優勢!

 魔王は今日子さんにおびえながら、従者のマーリンに尻を叩かれつつ征服活動をはじめようとしたり、しなかったり。そうなると、物語はダメ魔王と圧倒的な力を誇る女子高生勇者の掛け合いになるような気がしたのですが、そういうわけでもない。今日子さんと漫才をすることになるのは、同じく3代目戦士のビッチ女子高生、我孫子さんです。その後も3代目シリーズ女子(男の娘含む)は次々とパーティに加わり、放課後に平和会議とかいってカラオケに行って遊んだりしています。ここだけ切り取ると、女子高生の部活もののような展開。魔王は置いてけぼりなのです。

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 そもそも、現代日本人が異世界に飛ばされて活躍する話しなら、それがたとえ『エルフを狩るものたち』のようにお笑い路線だったとしても、異世界のルールにある程度は縛られるわけですが、この場合は舞台が千葉。今日子さんは、日常生活を崩しません。むしろ魔王の方がボロアパート生活を余儀なくされて、苦労しています。勇者だったり、戦士だったり、魔法使いだったり。それぞれが3代目を背負っているものの、基本魔王無視で楽しく放課後を過ごし「女に生まれたアタシを祝う」な状態でキャーキャーやっている様は読んでいて楽しいし、彼女たちの陰で天ぷらそばにあこがれつつ、掻き揚げで妥協する魔王には、お父さんのような悲哀が感じられて、こちらも気になってしまうのです。


こんな、ベタな感じで始まるのだが…

いきなり女子高生勇者に罵倒される魔王

3代目戦士の我孫子さんとお茶

放課後はファミレスでだらだらするのが、このパーティのお約束みたいです
(C)いわさきまさかず/KADOKAWA アスキー・メディアワークス