不思議なものを不思議なままに描いた直球マンガ

公開日:2014/4/13

猛禽ちゃん 〈1〉

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:阿久井真 価格:596円

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 『オバケのQ太郎』がQ太郎が起こす騒動を描いた漫画であるように、『猛禽ちゃん』は猛禽るいさん(16)の生活を描いている。このるいさん、ツリーハウスにひとりで住んでいたり、ほぼ無表情だったり、R田中一郎のように首が180度回ったりと、いろいろおかしな点があるのだが、学校の友だちやバイト先の仲間がその謎を解くとか、そういう展開にはならない。学校の友だち、小野まきみさんはとんでもなく強く、街中のごろつきを締め上げた過去がある。

 また『ベルばら』好きの池岡さあやさんは、間違った方向でのるいさんのファンで、冒頭から土下座で登場する。バイト先の先輩は、度を超えたおっちょこちょいで、月間30枚ペースで皿を割り、常に料理を頭にかぶっている。もうみんな、それぞれの作品で主人公をやりなよ、っていいたくなるような個性的なキャラクターばかり。一番の常識人は、もしかしたら敵役の小鳥くんなのかもしれない。だからなのか、彼女たちはるいさんを当然のように受け入れる。誰も、首が180度回ることに関してゲスな探りを入れようなどとはしない。少々、笑い方が怖くても「その笑顔がすき」とまでいってしまうのだ。

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 こういう作品はあまり見かけないと思ったのだが、よく考えるとマンガとしてはこちらの方が王道のような気もする。『20世紀少年』や『海猿』のように、自然に実写化できてしまうような作品ばかり読んでいると、「きっちり、るいさんの秘密を説明するべきだ」なんて思ってしまう。けれど、るいさんという不思議な人がいて、彼女の周囲で起きるちょっとした騒ぎを描いていくのに謎の解明なんて必要ない。舞台は高校だったり、ファミレスだったりするけど、これはもうファンタジーなんだな、と思った。


いきなり首180度回転!

学校のお友だち、バンカラまきみさんと土下座さあやさん

るいさんのおうちは、ツリーハウス

ちょっと変わった子だけど、みんなるいさんには優しい