『ぼくらのフンカ祭』の作者が描く、泥臭さと青臭さとタバコの煙で満たされたSF青春ラブコメ
公開日：2014/4/14
生きるためには衣食住の必要があるわけですが、どうやら世の中には、タバコと酒と自由があれば生きていける人種もいるようです。「アウトロー」や「ハードボイルド」というと、トゲがあって近寄りがたいイメージがありますが、ここに「青臭い」というキーワードが入ると、たとえば話題の新星・真造圭伍が描く世界に出てくる人物のように、グッと親近感がわくから不思議です。
さて、本作は、知る人はとっくに知っている『森山中教習所』『ぼくらのフンカ祭』などで人気の真造圭伍が描くアウトローな青春ラブコメ。そして、まさかのSFモノ。タバコをこよなく愛する、宇宙運送会社のバイトくん・タカイチが、事故に巻き込まれて、カエルのような人種が住む奇妙な星に不時着。社員のヤマモトは頼りにならず、タカイチは持ち前の高い適応力で、慣れ合いは避けながらもカエルたちと交流し、わりと快適な生活を送ります。ところが、ある日、この星にはヒト型の人種も存在することを知り…。
真造圭伍が描くほかの作品同様、本作も主人公であるタカイチのキャラクターが強烈です。不満が渦巻いているわりには、どこかノーテンキ。単純。言動は荒っぽいように見えて、中身はデリケートで情に厚い。そして、青臭いがゆえに、さまざまな面倒ごとを引き寄せてしまう。はっきりいって、面倒くさい生き方。しかし、目が離せない魅力があります。作中の登場人物たちは、この言い知れぬまるで重力のような魅力に捉えられ、喜怒哀楽をむき出しにし、鎧を剥ぎ取られ、自然体な自分となっていきます。
未知の環境でたくましく生きるタカイチの姿は、混沌としている時代に不安や悩みが絶えない私たち読者に勇気を与えてくれます。下記ページで、第1話のみ試し読み可です。
運送ロケットが「こーこーふのー」になり、未知の星に不時着
奇妙なカエルたちと交流し、星の食べ物をむさぼるタカイチのたくましさ
タバコを奪取するために命を賭ける
