AKB48では泣けない中年男も、号泣必至。秋元康氏が説く「小説版デス・エデュケーション」

小説・エッセイ

2010/11/26

象の背中 完全版

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 扶桑社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:秋元康 価格:540円

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不意に読んでしまったのがいけなかった。 iPhone片手に、涙が溢れだす。 iPhone片手に、生き方を問われる。
人生の折り返し地点を過ぎた40代には、 余命観という「はかなさ」が触感を伴って響く。

登場人物一人ひとりの想いが、切なくて愛おしい。 死に向き合った人生には、無常なる無上がある。
AKB48を通じて「生の共鳴学」を仕掛ける秋元康さんは、余命半年の中高年男を通じて「死の社会学」を突き付ける。 デス・エデュケーション。「死の準備教育」。 人間らしい死を迎えるにはどうすべきか、 という学びがある。
余命数カ月。自分を死ぬ立場に想定して、 大切な人に別れの手紙を書くそうだ。 自分なら誰に書くだろう。 そして、何を書くだろう。
「無常を観ずる時、吾我の心生ぜず」。 道元禅師の如く、エゴを捨てて無我になれるか。 せめて主人公に習い、遺し伝えられる自分でいたい。
「死生」も「自他」も「遺伝」も、 切り離してはいけない。
我々は、脈々と連なってゆく 「切ない遺伝の子」でもあるのだ。

現代人にとって「他人の死」と「自分の死」の距離は、圧倒的に遠い。「死」は、それを近づけるために存在するのだろうか

子供の結婚姿を見る行為は、親から子への子孫的思想の伝承。人間的な遺伝儀式は、涙なくしては成立しない

ページをめくるごとに、「はかなさ」と「せつなさ」は、めくるめく目頭を熱くする。iPhoneで読んでもそうなる人間は、すごい

これ以上の「切ない遺伝書」はない。こんな思いを私も遺し伝えたい