読めば日本語が好きになり、言葉を通して自分を見直すきっかけにも
更新日:2012/1/20
日本語をこよなく愛する井上ひさしが、日本語をあらゆる角度から眺め、あれこれ考察したエッセイ。義務教育のあり方や日本語の発音について考察したかと思うと、辞書のすばらしさや言葉遊びの楽しさを語る。
また、独仏伊3カ国語ができたにもかかわらず、国際会議では相手の国の言葉は使わず、必ず通訳を使ったというチャーチルのエピソードを紹介して、「ここにあるのは『ひとつの言葉はひとつの世界観である』という覚悟である」と、日本における安易な英語公用語論に釘を刺す。
この本を読むと、言葉はただの意思や情報伝達の道具ではなく、とてつもない可能性とパワーを秘めたものであることを思い出す。
ところで、日本語は他の外国語に比べて音節がかなり少ないので、語呂合わせがしやすいという利点がある反面、同音異義語が多くなるため、オヤジギャグが多発するという副作用もある。
控えめながらも大まじめに自らのダジャレ考案テクニックを披露しているところなどは、井上ひさしの押しつけがましくないユーモアのセンスが感じられて、くくっと笑える。
亡くなってしまわれてとても残念だ。
日本語を肴にこれだけ多彩なトピックを取り上げる
誰かの言葉やエピソードを最初に紹介し、そこから考察を広げていくスタイルのエッセイ