夢のような世界を作るため、漫画家たちは今日も現実と戦う

公開日:2014/4/26

マンガで食えない人の壁

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : NEWVERY
ジャンル:コミック 購入元:Kindleストア
著者名:NPO法人NEWVERY内トキワ荘プロジェクト 価格:※ストアでご確認ください

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 マンガというメディアが好きな人は手を挙げてほしい。もちろん私はええとこ見せたい小学生男子みたいな勢いで、全力で挙げよう。その、マンガというメディアが好きな人の中に、マンガ好きが高じて漫画家という職業を目指したことが一瞬でもある人、はどれぐらいいるだろうか。そしてその一瞬でも漫画家という職業を目指した人の中に、現在ではその夢をあきらめてしまった人は、果たしてどれぐらいいるのだろうか。

 世の中では最近、じわじわと“漫画家マンガ”の認知度が増し、マンガ業界に詳しくない人も、「漫画家」という職業が具体的にどういうことをしてマンガを描いているのか、ということを知っているような流れができてきた。

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 だが、「世の漫画家という職業の人たちは、いったいどういう紆余曲折を経て現在の漫画家という職業についたのか」ということを知る人は、たぶんあまりいない。この本は、現在漫画家として活動している人や、漫画家になるための学校で教鞭をとっている人などが、自らの経験をもとに「じゃあ、具体的にどうすれば漫画家って職に就けるの?」「漫画家って職に就いた後、本当にそれで食べていけんの?」という非常にシンプルな問いに答えるインタビューを集めた本だ。

 漫画家はデビューすれば、連載を持てばそれでゴールというわけではない。デビューしてもその後連載をもらえなければ結局無職のようなものだし、連載を持ってもそれが長続きしなければすぐに収入はなくなる。お気に入りのマンガ雑誌の中に自分の気に入らない連載があったとして、そのマンガに対して「早く打ち切られちゃえばいいのにー」と無邪気に私たちがつぶやくことは、私たちが思っている以上に残酷なことなのだ。

 たぶん漫画家が「消えないために」必要とされることは、マンガとはそんなに関係ない仕事をしている私たちにも必要とされることであったりして、過去漫画家志望者ではあったけれども今はそんなことない私でも、自然と居住まいを正したくなるような血の通った言葉が満載の「ビジネス書」だった。今度からはせめてもうちょっと、マンガを丁寧に読むことにしよう…


漫画家ピラミッド。Cの段階で消えてしまう人もいっぱいいるのだろうなあ…

読者である私たちは漫画家にとって「壁」でもある

みんな! 面白いと思ったマンガは単行本も買わなきゃダメだぞ! 電子書籍でも可!

漫画家志望者でなくてもちょっと耳が痛い