タイトルがネタバレなのに、それでも目が離せない

2014/6/18

女の子が死ぬ話

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 双葉社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:柳本光晴 価格:540円

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 表紙を見れば、どんな話か一目瞭然のマンガじゃないか! だって、線の細い女の子が冷たい表情で描いてあって、背景は白地に桜の花びらだけ。極めつけは、『女の子が死ぬ話』と大きく書いてある。これはもう、疑う余地のないただの病弱ヒロインものだ。そう決めつけてページをめくると、第1話冒頭で「検査結果がでました」と来るから、ますます決めつけは補強されていく。

 ところが、本当の物語は意外な語り手の出現で始まる。望月千穂さんだ。背は高く、日に焼けた彼女はどう見ても健康体。そんな千穂さんが高校入学でイメチェンを図り、初日登校中に少女マンガのワンシーンのように、水橋和哉くんと出会う。ただ、和哉くんは瀬戸遙と一緒だった。生まれながら病弱で、真っ白で。千穂さんの言葉を借りれば「本当に少女マンガのヒロインみたい…」という女の子だ。物語はこの3人の仲を描くことで進んでいく。

 こんな風に書くと味気ないが、読み応えという意味でも、引き込まれるという意味でも、平々凡々なマンガではなかった。理由のひとつは、瀬戸遙という子の描き方だと思う。千穂さんも和哉くんも、血の通った高校生としてきっちりと描かれている。だけど瀬戸遙は違う。瀬戸遙の外縁が描かれることはあっても、本当のところ、どうなのか? ということは、幼なじみの和哉くんすら知らない。1巻で完結の作品なので、もちろん読み終わる頃には納得いくのだが、千穂さんはもしかしたら30歳になっても疑問として持ち続けているのかも、と感じるような終わり方だ。

 背景から察するに、武蔵小杉あたりの病院や、京王線沿線の住宅街っぽい街、それに由比ヶ浜や吉祥寺の動物園などが舞台なのだろう(エピローグで、東京と地元という言葉が出ているので定かではないが)。そんな大勢の人が生活する空間だから、もしかしたらこんな人たちもいるかもしれないと思うような、丁寧な描き方をした作品だった。


まるでテンプレートのようなはじまりなのだが…

千穂さんです。新しい一歩を踏み出そうとするスポーツ少女

入学初日から、3人の付き合いがはじまる

瀬戸遙がどんな子なのか? ほとんど全編で直接語られることはない