電子書籍時代対応のベストセリング・ミステリ上陸!
更新日:2012/2/3
翻訳小説って、版権の煩雑な問題があるのか、なかなか電書にならんのう、と思っていたら、全米ベストセラー作家で日本でも大人気(『ミステリが読みたい! 2011年版』のゼロ年代のベストミステリの作家部門で1位だった)のディーヴァーさんの最新作がいきなりなっちゃった。
映画化された『ボーン・コレクター』で有名な四肢麻痺の科学捜査官リンカーン・ライム・シリーズからのスピンオフ、キネクシスという行動分析学の権威で、「人間嘘発見機」の異名を取るキャサリン・ダンス捜査官のシリーズ第2作だ。
シリーズ2作目からでも問題なく楽しめるのはもちろん、本作が日本でのディーヴァー電子化第1作というのには、充分意味がある。
まず簡単に内容をご紹介すると――
路上に手製の十字架を立てて殺人予告をする、連続殺人鬼が現われた。すんでのところで救われた被害者は、地元の有名ブログ上で、ネットいじめをした少女たち。いじめの被害者だった少年が容疑者として浮かび上がるが、少年は失踪していた。得意のキネクシスを駆使し、嘘をつく関係者たちから情報をひきだしてなんとか犯行を食い止めようとするダンスの前に、ネット上に横溢する悪意と欺瞞の影に隠された恐るべき真相が浮かびあがる。
本文中には、いくつかのURLが挿入されており、ダンスたちが参考にした捜査資料のブログページに飛ぶことができる。実際に飛ぶと、急にフィクションが現実になったような不気味さがあった。もちろんリンクは後回しにして本文だけ読んでも、その要約が書かれていて話を追うには問題ない。でもiPhoneやiPadで読まれている方々はとくに、そのままページに飛べるので、ぜひお試しあれ! ね、電子書籍部のためのような作品じゃない?
あ、それ以外にも、相変わらずのページタナーなストーリーテリング、どんでん返しに次ぐどんでん返し、ダンスの新しい恋の気配なども読みどころなのだった。
(上巻)ディーヴァーが本書を書いた当時はまだiPhoneはなかったので、パソコンにURLを打ちこませるつもりだったそうだ
(上巻)《ザ・チルトン・レポート》のURL
(上巻)キネクシスは、言葉よりもしぐさでより多くの情報を伝える。ダンスのそれを読みとる訊問のプロなのだ