マンガ的“ノーム・コア”? 日常系を超える究極の普通マンガ!
公開日:2014/6/21
NY発のノーム・コアという言葉をご存知でしょうか?
なんでも、“普通を極める”というような意味だそうで、派手で奇抜=個性という考えへのアンチテーゼ的に今年流行中なんだとか。
矢継ぎ早に変わる流行を追いかけて、いざ追いついてみると皆同じ格好になっていたり…、ということもしばしば。流行を追う“量産型”とでもいうような、自分らしさを追求することによる没個性という、一種のジレンマにハマってしまうのです。
永遠に続くかに思えた、不毛なファッション戦争…。そこへ終止符を打つべく登場したのが、ノーム・コアというわけであります。もしかすると、ファッションで個性を主張する時代は終わりを告げ、人間的な“にじみ出る個性”へと目が向いてきた、ということなのかもしれません。ともあれ、今「フツーの方がクール」という流行がキテるそうなのです。
そして、本作もソレなのであります。いうなれば、マンガ的ノーム・コアといったところでしょうか…。
本作の舞台は主に河川敷。登場人物は主にフツーの高校生・瀬戸と内海の2人です。そんなフツーの2人が、学校終わりにそこで特に何をするでもなく、しゃべっている、だけ。ただそれだけです。本当にソレ以外にはありません。劇的なドラマもなければ、激しい場面転換もありません。ただただ、2人の暇つぶしに付き合う“だけ”のマンガです。
なんともない会話から立ち上る妙なおかしさは、シュールな笑いとよく似ているものの、少し違います。全然シュール(超現実)ではなく、むしろ非シュール。リアルな追体験にも似たそのフツーさは、『THE3名様』の血筋です。
少しシリアスになったり、少し感動したり、少し笑ったり。何も描いていないようでありながら、にじみ出てくる妙な味わいは、まさしくノーム・コア。ファンタジックで、ヒロイックで、オカルティックな作品などとは対照的ですが、決して負けてはいません。
「幸福は暇にこそある―――」
アリストテレスは何よりも暇が大切だと言ったそうです。暇人はなんだか悪い人のように見られがちな世の中ですが、暇な時に、暇をつぶす2人に付き合って、暇をつぶすのも一興。なんとも贅沢で、ハッピーで、クールな時間が過ごせるはず。
神妙な面持ち
急にドラマティックになると焦る
お気に入りの河川敷と大道芸人
戦争と平和