美しい音楽を奏でるピアノまんがの名作

2010/12/24

神童 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 双葉社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:さそうあきら 価格:500円

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古くはくらもちふさこ先生の『いつもポケットにショパン』、近年では一色まこと先生の『ピアノの森』や二ノ宮知子先生の『のだめカンタービレ』などなど、ピアノをテーマとしたまんが=ピアノまんがには数多くの名作が存在します。

本作もそのひとつ。1997年に発表された、さそうあきら先生の出世作です。

音大を目指す浪人生・菊名和音は自分の音楽的才能に限界を感じていました。が、自由奔放な小学5年生の天才ピアニスト・成瀬うたとの出会いをきっかけに、ピアノの魅力を再発見。自らの眠っていた才能に気づき始めます。

感覚レベルでの話になってしまいますが、私が「ピアノまんが」の良し悪しを判断する基準は、紙面が音楽を奏でるかどうかという一点に尽きます。その点『神童』は素晴らしく音楽的。iPhoneでミケランジェリが弾くドビュッシーやアルゲリッチが弾くショパンを聞きながら読めば、臨場感はさらにアップすることでしょう。

年齢差のある2人がピアノを共通言語として心を通わせ、お互いを思いやり、補い合っていく様はとても感動的です。一方、母親に隠れて野球を楽しむうたの姿や、うたの母親の極端なキャラクターなどなど、絶妙の「抜け」具合はさそう先生ならではのゆるいグルーヴ。笑って泣ける、ピアノマンガの名作であります。

主人公・菊名和音(通称ワオ)の幼なじみである八王子充と相原こずえも音大志望。ワオは相原に密かに好意を寄せているが…

「ピアニスト」「神童」というイメージとは程遠い成瀬うたのキャラクター。野球をこよなく愛し、男子顔負けの実力を誇るチームのエース

そんなうたの得意球はフォーク。それが実は日頃のピアノの訓練の賜物だったというオチ(笑)

世界的な名指揮者だった父親を亡くしてから、実は困窮していたうたの家。見栄っ張りの母親は、ひそかに掃除のおばさんとしてパートに出るのだった…

優勝したら野球をやらせてあげると言われ、いやいやコンクールに出るうた。参加者を「へたっぴい」と罵倒し、演奏中もこんな顔。ふてぶてしい…

ドビュッシー「映像」第2集の「金色の魚」の演奏シーン。「映像」はグラモフォンのベネデッティ=ミケランジェリ盤がオススメです (C)さそうあきら/双葉社