「技は盗め」「身体で覚えろ」は現代の死語? 職人の世界を解説する『匠の国 日本』

更新日:2018/5/15

匠の国 日本

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : PHP研究所
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:北康利 価格:650円

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ドイツは日本と同様に勤勉な国民性で有名ですが、日本と社会制度には共通点が多いようです。
  
家の観念の存在、長子相続の伝統、民族主義の傾向が強いなど、そしてドイツの職人文化を支えているのが、マイスター制度です。

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マイスターへの道は、見習い工として就職しながら職業学校に通うことから始まります。実際には中学卒業の15歳からでは遅いという親方が多く、10歳くらいから住みこませることが多いそうです。基礎的な技術を身につけたら1年間のワルツ(放浪修行)をして専門知識や技術に磨きをかける。ワルツ期間中はいかなる事情があろうとも出身地の半径50キロ以内には立ち入ってはならないという規定があるそうです。
  
それからしばらくして、マイスター試験を受ける。このように、人を育てるとてもいいシステムが確立しています。日本のゆとり教育世代に対する批判が強いようですが、人を育てるカリキュラムという視点でみると、必要なものは入っているのではないでしょうか?
  
この本は、天然資源のないこの日本で、何が資産なのか。それは、手先が器用で勤勉な日本人の「ものづくり」で、熟練した職人により発展したことが日本の今の礎であるとしています。たしかに「職人」=怖いおじさんは最近見かけなくなった感じがします。
  
職人が尊敬される数少ない国日本。その良さと歴史を本書では再認識できます。

ものづくり大国日本は神話の時代からはじまっていました。職人の歴史がよくわかります

日本以外にもドイツのマイスター、イタリアのマエストロなどの紹介があって電子書籍のせいもあるのでしょうか、すらすら読めます!