本当の悪人は誰なのか。誰しもが抱える寂しさが生んだ哀しいストーリー

小説・エッセイ

2011/9/6

悪人

ハード : iPad 発売元 : ASAHI Shimbun Publications Inc.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:900円

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一人の男が、一人の女を殺した。 奇抜なトリックも、犯人の背後に巨大な組織の影が見えることもない。ただ本当に、一人の人間が殺されただけ。それを様々な人々の視点で追っていく。

登場人物は全員、等身大の人間。特別強いわけでも、特別弱いわけでもない、普通のどこにでもいる人間。だからこそ、犯人が殺人に辿り着いてしまった過程に、被害者が殺されてしまった過程に、そして事件後の登場人物達の心の揺れ動きや行動に心を打たれる。

小説で、ドラマで、ニュースで、”殺人”という事件に慣れ切ってしまっている僕だったが、当たり前のことを思い出すことができた。 一人の人間が死ぬ=いなくなるということの重さ。 人はこの広い世界で一人きりで、生きているのではない。たくさんの人とつながって生きているのだ。ある日突然、そのつながっていた人が消えてしまって、何事もなく変わらぬ日々が続くわけがない。 この世の中でこれほど悲しいことがあるだろうか。

そして、何よりも哀しさを覚える。

ウサギは寂しいと死んでしまうという言葉がある。 ウサギだけじゃない。人間だって寂しさで死んでしまうのだ。何よりまずその心が。

この話の中にも、寂しさを抱えた人々が登場する。 その寂しさは、特別なものではない。普通に生きる人ならいくらでも感じたことのある”寂しさ”だ。

終わりに「悪人」というタイトルについて。 最後まで、この話の中に悪人を見つけることができなかった。罪を犯した犯人も含めて。 それでも、「悪人」というタイトル以上のタイトルはないだろう。

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