「自由」が欲しいなら「神」を殺せ 【『僕だけがいない街』三部けい最新作】

更新日:2014/7/10

STEAL AND DEAD 1巻

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : スクウェア・エニックス
ジャンル:コミック 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:三部けい 価格:617円

※最新の価格はストアでご確認ください。

 最新刊ではひとつの山場を迎え、改めてその物語の構築のうまさが話題になった『僕だけがいない街』。その作者である三部けいの新刊『STEAL AND DEAD(スティール アンド デッド)』の1巻がついに発売されました。ミステリーサスペンス仕立ての『僕だけがいない街』に対して、『STEAL AND DEAD』はネパールで繰り広げられるバトルアクションもの。刑務所の中に送り込まれる暗殺者や囚人同士のいざこざ、そして刑務短縮と引き換えに命の危機がつきまとう「任務」など、一歩ごとに顔をのぞかせるデッド オア アライブからは目が離せません。

 舞台はネパールの首都カトマンズの北西に位置するカトマンズ刑務所。民間企業が経営するこの刑務所は、世界中のどの刑務所からでも申請書の提出さえあれば無条件で入所可能ですが、世界一脱獄が難しいことでも有名です。それでもこの刑務所には入所希望者が後をたちません。その理由は、「任務」と呼ばれる特別刑務任務をこなせば刑期を短縮されるから。しかし、この「任務」は一筋縄ではいきません。この世界には“神災”と呼ばれる巨大化した神像が暴れる現象があり、「任務」とはその原因となる“魂鍵”を神から奪って無力化するというもの。この魂鍵は人間にも使用することができ、使えば身体能力を飛躍的に高めたり、特殊な武器をだすこともできます。しかしそれでも神災は恐ろしく、「任務」の死亡率はおよそ5%。10人のチームが2度任務にでれば、1人は死ぬ計算となります。

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 そんなカトマンズ刑務所には「懲役千年越え」の東洋人がいるという噂がありました。「懲役千年越えの男は、世界を滅ぼす鍵を持っている」との情報を元に、インターポールは世界の滅亡を防ぐため、その男を殺すために暗殺者を送ります。暗殺者は「ブラッド」と呼ばれる男が「懲役千年越え」ではないかと推測し、「任務」の途中で彼の暗殺を試みるも……

 甚大な被害をもたらす神災をわざと引き起こすように暗躍する組織や、世界滅亡を防ごうと暗躍するインターポール、個人的な恨みから「ブラッド」の正体を暴こうとする囚人のボスに、魂鍵を集め何か思惑があるような米軍など、様々な思惑が入り乱れて先が全く読めません。張り巡らされた伏線がどう回収されていくのか、続刊が待たれます。


神罰は神像に魂鍵を打ち込まれ生まれる……理不尽な災害が実は人災であり、暗躍する組織の怪しさが光ります

任務を行うチームは全て覆面をして正体を隠すのがルール。1コマ目の男が「ブラッド」

ロキ、と呼ばれる男は「任務」を行っている。そんな噂を頼りに、新入りの青年は「任務」について彼に尋ねようとするも……?