原作が先か、映画が先か。

小説・エッセイ

2011/1/8

草迷宮

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 岩波書店
ジャンル: 購入元:eBookJapan
著者名:泉鏡花 価格:540円

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「草迷宮」はバブル時代の終わり頃に寺山修司監督の映画で見た。寺山修司に見いだされた三上博史のデビュー作でもある。

あまりに昔なのでストーリーはよく覚えていないが、少女が手毬をつくシーン、日本的な色使い、映画の基調をなすようなエロティシズムが強烈な印象だったことと、十代半ばの三上博史が難しい役を好演していたことをよく覚えている。

映画のプロデューサーはフランス人だが、外国人がこうした表現を高く評価するのもわかるような気がする。私をこの映画に誘ってくれたのも、東京に舞踏を勉強に来ていたスペイン人で、私は彼によって寺山修司や舞踏の世界を知ることになった。

で、ようやく今回、この映画の原作である泉鏡花の「草迷宮」を読んだのだが、文語体なので読みにくい。ちょっと集中力を欠くと、すぐに「これは誰が言ったことば?」「前のシーンとこのシーンはどうつながるの?」とわけがわからなくなる。そもそもストーリーがあってないような小説なので、ストーリーを追おうとすると混乱する。そうではなく、ひとつひとつのシーンや表現、言葉を味わうつもりで読むといいかもしれない。

オンラインで本を読む利点のひとつは、作者や作品がつくられた背景など、知りたいと思ったらすぐにオンラインで情報を検索できることだ。「草迷宮」で検索したら、作者についても、作品のあらすじや映画のイメージもいくつか検索できた。それによると、泉鏡花は異常なほど潔癖症だったそうで、そんな性癖も、こうした悪夢ともうつつともつかないような世界を創造するのに大きく関係したのだろう。オンライン検索を活用して、文語体で読みにくいこの作品を読んでみる、というのもひとつの方法だろう。

このクラシカルな表紙がこの作品にはふさわしい

挿絵でも映画でも、ほかの表現者がこの作品をどう表現するか、という視点でこの作品を味わうもよし。というより、そういう助けがないとこの作品はなかなか味わい尽くせない、少なくとも私はそうだった

草迷宮の最後のクライマックス (C)岩波書店