姉の元彼氏…不安定な関係性の中に見つけた確かな繋がり

小説・エッセイ

更新日:2011/12/20

透明ポーラーベア/I LOVE YOU

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 祥伝社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:伊坂幸太郎 価格:108円

※最新の価格はストアでご確認ください。

一人っ子は”我儘”だとか”協調性がない”とかよく言われたりしますが、みんながみんなそうじゃないんだからねっ! と私は声を大にして言いたい!

なぜなら、私が一人っ子だからです(笑)
だって、黙ってると一人っ子には見えないって言われるのに、一人っ子だって言った後は些細なことで「一人っ子はこれだから~」とか言われたりする。これ、明らかに先入観じゃない?

advertisement

一人っ子とは…みたいな悪いイメージがもたらしてる思い込みじゃない? 私は決して我儘ではないし、ある程度協調性もあると思うよ!

…多分。

まぁね、一人っ子のことは一人っ子にしかわからないように、兄弟がいる人のことは兄弟がいる人にしかわからないでしょう。

今回生田が読んだのは、一人っ子の私には到底わからない関係性が要となるお話。
“主人公のお姉さんの彼氏だった人”がこのお話のキーパーソンになっています。

自分の兄弟の恋人が自分にとってどんな存在か、一人っ子の私には実感を持って感じることはできませんが、読んでいてなるほどなって思わせられることがたくさんありました。
姉の彼氏だからと仲良くして、ある程度関係を築いたとしても二人が別れてしまえば瞬間赤の他人になってしまう、とても不安定な関係なんだなぁと。

主人公とその彼女は、もうすぐ遠距離になってしまう。離れても”繋がっていける”のか、大丈夫と言い切ることが出来ない主人公。
2人が来た動物園で、主人公は今では赤の他人になってしまった姉の元彼氏に再会する。
今はいなくなってしまった姉と、複雑な2人の関係の中に主人公は確かな”繋がり”を見つけ出していく。

あらすじだと書ききることはできませんが、主人公のお姉さんのキャラクターがとても印象的でした。
兄弟って私が思う以上にお互いに影響しあうんだろうなぁ。

劇的な変化や事件があるわけではないけれど、物凄く引き込まれてその後を安心して想像できるストーリーです。
兄弟がいる方は、自分の経験と重ねつつ、一人っ子はなるほどなと想像しながら読むと面白いと思います。
一人っ子が嫌だと思ったことは一度もないけれど、一人っ子にはない”繋がり”を経験できるのはちょっと羨ましいと思ったりもしました。
まぁ、一人っ子には一人っ子同士の”別に一人っ子だからって我儘じゃないよね”と言い合う妙な結託…繋がりもあったりしますけどね。
一人っ子は兄弟がちょっと羨ましくなる…そんなお話でした。


人生は簡単に答えが出ない、だから難しくて面白いんでしょうね。

考えもしないような、でも確かにそうだなって思うセリフ。

タイトルの透明はこういうことだったんですね。