煩わしい恋愛もセックスも効率化すべき?深遠なる恋愛テーマを切り裂く話題作

更新日:2015/9/29

あそびあい(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:新田章 価格:540円

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 産業革命以降、文明は徹底的に効率化を推し進めてきました。シンプルな車輪、歯車から始まり、全自動化、ついには無人化と、その徹底ぶりは凄まじいものがあります。このまま機械化が加速したら、人間の仕事は機械を制御するプログラムを考えることだけになり、より進めばもしかすると“働く”ということ自体が過去の言葉になるのかもしれません。より利益を多く得るためには、効率化こそ正しい。全くその通りであり、合理的です。この功利主義的な考えが、文明的には良いのです。

―――ならば、煩わしい恋愛もセックスも効率化するべきである。
本作はそんな一風変わった恋愛模様の物語です。

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 自分の欲望と快楽に素直であり、合理的に沢山の人と関係を持つ“恋愛モダン派”小谷さんと、そんな彼女を独占したい純情一途な“恋愛ロマン派”山下くんの恋物語(?)であります。みすみす快楽を逃すのは「もったいないじゃん」という小谷さんは、今日も今日とて、他の男と身体を重ねます。山下くんはフラれていますが、一途な思いを抑えきれず、小谷さんと関係するひとりに…。

 いやはや、なかなか難しい問題です。なんとも微妙でデリケート、面倒くさくて悶々とする、実にイマドキなカンジです。一見すると、倫理的にはロマン派に軍配が上がりそうではありますが、モダン派もやはり一理あるんですね。一般的には美徳とされるロマン派ですが、山下君の他人を独占したいという考えや、好きだからカラダだけでも…というのはやや狂信的でイキスギともいえますし…。むしろ、効率的な恋愛はなんらオカシナことではないのかもしれません。喜びや快楽をより効率よく得るために、合理的に人付き合いをこなす。ある意味、文明人の鑑ともいうべきモダン派です。

 モダン派とロマン派の激突!!ざっくり言えば、
「好きな異性に一途で、付き合ってる人としかしないのが“正しい”のか」
「好きでもない異性とも、「気持ちいいから」するのは“間違っている”のか」
ということですが、本能と理性がある限り決着の日は遥か彼方にありそうです。山下くんに幸福が訪れるのもまた然り…。とはいえ、どちらも“こうすべき”を強制できない点では同じであり、忘れてはならない非常に重要なポイントです。

 ストレンジラブストーリー! 恋愛残酷物語! と評され、話題沸騰の本作。なかなかどうして、深遠なる哲学的テーマを含んだ作品です。本作に触れずにいるのは、合理的に考えてもったいない!…かもしれません。


モダン派 筆頭 小谷ヨーコ!

ロマン派 筆頭 山下ハルユキ!

2人は恋人ではなく、損得で繋がった関係

利益があれば、問題なし

ドライなようで熱い恋愛譚!