相変わらずの倍返し! 切れ味は一層鋭く、あの半沢直樹が帰って来た

小説・エッセイ

2014/8/12

銀翼のイカロス

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : ダイヤモンド社
ジャンル: 購入元:Kindleストア
著者名:池井戸潤 価格:※ストアでご確認ください

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 小説がドラマ化され、原作小説が部数をのばすのはよくあること。しかし、放送が終わったあともなお主人公の台詞が社会に定着し、脇役の俳優たちまでもがメジャーになり、人々が次作を期待する…そんな作品はごく少ないものです。その希有なヒット作、半沢直樹シリーズ最新作が紙とデジタルで同時発売に。

 『ロスジェネの逆襲』での大活躍で晴れて出向先の東京セントラル証券から戻ってきた半沢。東京中央銀行本社営業第二部次長として、頭取から直々に命じられるのが、帝国航空の業績回復(余談ですが、ははーん、モデルはあの会社だな、と推理しながら読むのも、池井戸作品の楽しみの一つですね)。箱物行政で空港を量産したい国の言うがままに地方の赤字路線を拡大し、もはや再建不可能といわれるまでの財政状態に陥った帝国航空ですが、社員たちの危機感は薄く、高給や福利厚生などの既得権益をなかなか手放すことができません。やっとなんとかなりそうな再建プランを練った矢先に、今度は政権交代があり、国土交通大臣が前政権下で作成したプランに物言いを付けてくる。

 こうして、国土交通省と直参タスクフォースの癖者弁護士、航空会社、銀行と三つ巴の戦いが始まるのですが、例によって内通者など足を引っ張る者や過去のしがらみあり。その敵を一人一人片付けていく半沢はもはや必殺仕置き人の趣です。渡真利や近藤など友人たちの援護もあり、内藤部長もより存在感を増し、さらに味のあるおっさん新キャラも登場、さらに嬉しいのはあのthe Best Villain国税局黒崎の復活で、 やはり爽快感のあるエンターテインメントに仕上がっています。

 それにしても今回、メガバンク社員とはいっても一介の銀行員である半沢が対峙する相手は、なんと国家権力。次作でさらなる敵のインフレが起こったら、いよいよ日本最大の伏魔殿、エネルギー業界あたりを舞台にすることになるのでしょうか…。


国税局の黒崎登場!「優雅な物腰でエリート臭を漂わせているが(中略)隠しきれない底意地の悪さと冷酷さを感じずにはいられない」という説明にもはや爆笑

半沢は相手を屈服させるだけではなく、じつはネゴシエーションが上手いのです。〜しろよ、さもないと…と言ってどれだけの情報を得てきたか知れない

日本が誇ってきたものづくり、それに魅かれて入社した会社だったはずなのに。著者の問いは金融業界だけじゃなくすべての日本の職業人に向けられているかのようです