もし、火星との戦争が起きたら、あなたはどうしますか?

SF

2014/8/21

ALDNOAH.ZERO 〈1〉

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : 芳文社(コミック)
ジャンル:コミック 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:OlympusKn 価格:648円

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 「名月をとってくれろと泣く子かな」という俳句を思い出しながら、大人だって同じようなもので、月が、火星が、土星が、太陽が、すべて自分の手に入るように無邪気に思っているではないかと感じた。どうして、地球人の権力が宇宙のどこまででも続く気がしているのだろうか。今後益々宇宙開発が進んでいけば、領土問題は宇宙にまで広がっていくのだろうか。そうすれば、戦が勃発してしまう日ももしかしたら来るのかもしれない。

 Olympus Knights原作・ピナケス作画『ALDNOAH.ZERO』は、7月よりTOKYO MX他でテレビ放映されているオリジナルロボットアニメのコミカライズ作品だ。『Fate/Zero』などを手掛けたあおきえい氏が監督、『魔法少女まどか☆マギカ』や特撮ドラマ『仮面ライダー鎧武』などを手掛けた虚淵玄氏がストーリー原案を担当する話題のアニメーションは漫画版もスリル満点。火星移民と地球の争乱の行方に手に汗握ってしまう。

 舞台は、火星との戦争の休戦から15年後の西暦2014年。地球は火星軍との交戦を想定して、人型機動兵器ロボット・カタフラクトの操縦訓練を義務教育として指導しており、日本の新芦原市に暮らす男子高校生・界塚伊奈帆も毎日訓練に励んでいた。そんな中、地球側と火星側の和平交渉が進められ、その象徴として火星の皇女アセイラム姫が地球を訪れ、親善パレードを行うことになった。だが、彼女のパレードがテロリストによるミサイル攻撃を受け、彼女は生死不明となる。火星側はこれを地球による宣戦布告と判断して休戦協定を破棄、地球への攻撃を開始する。地球は一体どうなってしまうのか。ふとしたことから姫を保護することになった伊奈帆は、高校生ながら、地球最大の危機を救うことはできるのだろうか。

 「高校の必修科目でロボットを動かせるなんて」と数ページ読んだときには主人公たちを羨ましく想ったが、次第に戦争に巻き込まれ、友人の命が奪われる場面で自分の甘さを痛感させられた。「判断は臨機応変。いざとなれば自分を信じて決断する」。無慈悲な展開、圧倒的な迫力が読者を包み込んでいく。

 一瞬の判断がものをいう戦の中で、主人公・伊奈帆は優れた洞察力と分析力を持っている。敵が迫ってきても、冷静に対応し、適した戦略を練ることができる。だが、相手は、火星の人々。地球に比べて遥かに技術的に優れたロボットで伊奈帆たちを動揺させる。1巻で登場するのは、透明無敵バリアを持つロボット。死角などないように見える敵を相手に伊奈帆はいかに挑もうというのだろうか。

 今までこんなにも興奮させられるSF作品があっただろうか。絶望的と思われた状況から勝機を見出していくさまはたまらない。アニメを見ている者もまだ見ていない者もぜひとも読んでおきたい作品である。


地球へと親善のために訪れる火星の姫様…お美しい…

しかし、急に戦争ははじまる。時には仲間の命が危険にさらされることも

戦いの場面はスリル満点

頭脳明晰な伊奈帆の戦略は圧巻。彼は地球を救うことができるのだろうか