魂の救済を求めて経巡る地獄・煉獄・天国の旅
更新日:2011/9/6
神曲 ─まんがで読破─
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : イースト・プレス |
ジャンル: | 購入元:電子貸本Renta! |
著者名:ダンテ | 価格:210円 |
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「神曲」の原タイトルは「La Divina Commedia」で、まあ「神的には、喜劇」みたいな感じでしょうか。
なんで喜劇かというと、14世紀当時高級な文学はラテン語で書かれていたんですね。ところがダンテは、魂の救済なんていうたいへんなテーマを持ったこの本を、庶民の言葉イタリア語の方言で書いちゃった初めての人。ラストが死ではなく、和解と救いで終わることと、庶民にも読めるように書いてあることから、「喜劇」と呼んだのです。
だから、今のわれわれの「喜劇」の感覚とはだいぶ違うので要注意。
幼少のころ見かけたベアトリーチェに恋をしたダンテは、神聖な恋心を保ったまま打ち明けもせずに、永遠の淑女としての彼女に尊敬と賞賛を抱いたまま日を送っています。だがベアトリーチェは17歳で夭折。ダンテは深い絶望に陥り、命や人生をどう考えていいかも分からなくなる。そんなある日、深い森に踏み迷ったダンテは、ローマ時代の詩人ヴェルギリウスに会い、天国から見守ってくれているというベアトリーチェの思いを受けて、地獄めぐりの旅に出ることになります。罪人が責められる地獄、苦痛によって罪が浄化される煉獄、二つを通り抜けた向こうにある天国、悲願の世界は三層からなっているとダンテは教えられます。
密教系のお寺に行くと、ご本尊の裏側なんかに地下通路が作ってあって、胎内めぐりとか地獄めぐりとかを体験させてくれます。本来なら生きたまま味わうことのないあの世や、仏様の世界をめぐることで、新しい自分に生まれ変わる契機をもらえるんですね。ダンテの地獄めぐりも根本は同じだと思いますが、後から後から飛び出てくる奇想天外が、幻想文学の風格を作品に与えちゃってます。漫画版はそこまでは描き込めてないのだけれど、この長ぁい物語に挑戦する前にウォーミングアップするのにちょうどよし、といったところ。
世界を変える前に、まず自分を変えよう。
ベアトリーチェへの愛は彼にとって永遠の魂の道しるべだった
ベアトリーチェの死に絶望したダンテは、深い森で詩人ヴェルギリウスに会う
地獄っていうのはこういうすり鉢状になっているらしい
愛欲の罪に溺れた者は、死ぬこともできず永遠に二人で空を漂っていなければならない
大食の罪を犯したものは、地獄の番犬ケルベロスに食べられちゃう
多難な道程の道案内に天使がおりてきてくれた
そうかと思うとこんなネバー・エンディング・ストーリーみたいなやつも助けに現れる
地獄の最下層は、氷地獄
魔王ルチフェルの腹につかまると、ぐるっと世界は回転して煉獄へでられるのだ
煉獄は自分の罪を自分で浄める場所。火だるまになるものも幸せのほほえみを浮かべることもある