お父さん方には申し訳ないけど、母親って本当に特別な存在なんです(涙)
更新日:2012/3/2
自分の会社を潰し、離婚もして一人きりで落ちぶれてしまった40歳の中年男、城所安男。安男は病気の母親を助けるべく、百マイル先のサン・マルコ病院に母親を自分一人で運ぶことを決意する。旅の途中のもう二度と交わせないかもしれない母と息子の会話が胸を打つ。親から子、子から親への想い。そして夫婦間、恋人同士など、様々な人たちの愛の形を描いた涙溢れる1冊。
貧乏な中、女手ひとつで子ども達をエリートに育てあげた安男の母親。なんとなく、ビートたけしの母親を思い出したりして。著名人のお母さんのいい話ってよく聞くけれど、多分そういうのってどこの家庭にもあるんですよね。自分の母親の伝説。お父さん方には申し訳ないけれど、すべての人にとって母親はやっぱり特別すぎる存在なんです。この物語を読みながら、自分が安男だったらと置き換えてしまったら、泣かずにはいられません。
母子間の「無償の愛」にも共感しつつ感動しますが、その他の登場人物も愛情豊かでステキでした。安男の元妻に、外科医の先生方、子ども達。そして特に安男の恋人のマリ。マリの行動こそまさに「無償の愛」です。
「愛されることは幸せじゃないけど、愛することは幸せ」
そう言って、安男を愛することだけに真剣な明るいマリが良かった。本当は誰よりも寂しいはずなのに、誰よりも明るいマリのようになりたい…いや、でもやっぱりなれないかな、私は。
リリー・フランキーの『東京タワー』しかり、母子ものは泣いちゃいます。
親孝行しよ。
離婚した家族への送金で、手元に全くお金の残らない生活を強いられている安男
歯もなく痩せ細ってしまった「貧相」を判で押したような安男…こんな中年男が主人公です
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