芸能リポーター・井上公造に学ぶ、「人に信頼されるための方法」とは

公開日:2014/9/21

一瞬で「本音」を聞き出す技術

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : ダイヤモンド社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:井上公造 価格:1,209円

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 秘密が秘密でありつづけることなど不可能だ。その重みを抱えた人間はどこかでそれを打ち明けたくてたまらなくなる。とはいえ、誰でも良いわけではない。「この人なら信じられる」。そう嘘でも思わせてくれる相手に人は隠し事を吐露するのだろう。

 『一瞬で「本音」を聞き出す技術』は芸能リポーターの井上公造氏が取材対象からいかにして情報をひきだしているのか、その秘訣が記されている。井上氏に情報が集まるのは、彼のスクープを追い求める真摯な姿勢と、芸能人から彼へと寄せられる信頼の篤さからこそ。「人との付き合い方や本音の引き出し方は、教科書や参考書には載っていないからこそ、失敗を繰り返しながら学んでいくしかない」と井上氏は語るが、彼のコミュニケーション術に学べば、人の本音を読み解くことができるだけでなく、上司からも部下からも慕われる存在となることができそうだ。

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 仕事であろうとなかろうと、面識のない人と初めて会う瞬間は誰でも緊張してしまうものだ。それは井上氏自身とも同じことがいえるだが、お互い好印象を持つことができるように、自分との共通点を探そうとするのだという。特に、心の距離がグッと近づくのは以下の3つの共通項を発見した時。
・趣味(嗜好的条件の一致)…スポーツ、グルメ、音楽など
・場所(距離的条件の一致)…出身地、居住地など
・過去(時間的条件の一致)…学生時代の部活、アルバイトなど

 また、手土産をもっていく時、井上氏は自身の出身地である福岡のものにこだわるようにしている。「故郷の福岡で人気の〇〇です」と手渡せば、「福岡なんですか、僕は△△です」と聞かなくても相手が情報を投げかけてくれる。言葉のキャッチボールがしやすい環境を井上氏は常に演出しているのである。

 人と向き合うには相手に対して尊敬の気持ちを忘れてはならない。そのような信念を持つ井上氏は、人と会う時は、約束の30分前に着くようにし、会う相手の情報を得ようと試みる。相手の名前に関しても、きちんと覚えて接するようにし、「メイクさん」や「音声さん」ではなく、「田中さん」や「山田さん」などと必ず名前で呼びかける。元AKB48の大島優子さんが絶大な人気を得ている理由のひとつは握手会でのファンの名前を覚えていることだと言われている。その“神対応”と呼ばれるアイドルの努力と共通するテクニックによって井上氏は人の信頼を勝ち得ているのである。

 さらに、もうひとつ井上氏が気をつけていることは、常に相手の利益を考えて話すようにつとめていることだろう。たとえば、21歳になった安達祐実さんと2回り近く年上の2枚目俳優と熱愛をキャッチした時、井上氏は安達さんの独占インタビューを取りたいと考え、所属事務所・サンミュージックを訪れた。どう対応して良いのか悩んでいた故・相澤 秀禎会長相手に井上氏はこう言葉を掛けたのだという。「子役のイメージを払拭するチャンスだと思いませんか」。すると、「そういう考え方もあるね」と相澤会長は承諾、インタビューを取ることができたのだそうだ。これはこちらの利益だけでなく、相手の立場になって考えたからこそ得られた貴重な機会といえるだろう。相手が「本来こうなったらいいな」と思っていることを見つけ出し、気づかせてあげることが、人を説得する鍵となるのだ。

 社交辞令を全て真に受けて約束を取り付けること、誘いは断らず、集まりには極力最後までいること、失敗談を話して人を安心させること。井上氏の取材術はそのままビジネスマンが社会で信用を得ていくための方法に重なるように思えてならない。芸能ニュース好きだけでなく、ビジネスマンこそ読むべき1冊。

 


失敗をくりかえしながら学んだ術がこの1冊に集約されている

上司にも部下にも変わらない丁寧が姿勢が大切

約束の30分前に集合することにはメリットがいっぱい

知りたいことがあったら、「ここまで知っている」ということを敢えて示すと新たな情報が得られることも