何でもひとりでできちゃう女たち、次は“女ひとり高級寿司”で

小説・エッセイ

公開日:2014/10/1

女ひとり寿司

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:Kindleストア
著者名:湯山玲子 価格:※ストアでご確認ください

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 牛丼屋にひとりで入れちゃう女です。ファミレスも映画も美術館も、結構どこでもひとりで入れます、私。でも高級寿司は…うーん。

 働く女がどんどん増え、女ひとりで夕飯を食べられるお店も増殖している現代でも、やはり女ひとりで高級寿司店となると躊躇してしまいます。著者の湯山さん曰く、それには戦後から続く日本の男社会という根深い歴史に理由があるのだとか。まぁ確かに、高級寿司店って、なんか男同士か、もしくは女は男の人に連れて行ってもらうイメージ。そんな分不相応な“女ひとり寿司”を、著者の湯山玲子さんが楽しみ勇んで挑戦していくエッセイ本。

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 まず行ったのは、あの「銀座 久兵衛」。のれんをくぐり、カウンターに並ぶ5人の職人さんの鋭い視線に堪えながら、自分のカウンター席まで行くのになんとまぁ遠いこと。さしずめそれは、ひとりで敵地に復讐に向かうクリント・イーストウッド並の心境だったとか。しかし、仕事のミスで精神的にほぼ最悪な状態で入店したはずの湯山さんは、職人さん、仲居さん、そして他のお客さんたちが放つ高揚感に、どんどん鬱々とした気持ちが晴れていったそう。湯山さん、高級寿司店のパワーに癒されたんですね。また、食事中に入ってくる職人さんの絶妙な合いの手に、男子校に赴任したマドンナ先生のようなステキな気分を味わったらしいです。さすが高級寿司店、店の雰囲気だけでそんな気分にさせるとは。

 築地の有名店、大和寿司では寿司のコメントがやけに鋭い貫禄のオバハンや外国人ひとり寿司に囲まれたり、汐留の「すし善」ではオヤジたちに「おひとりでこんな寿司屋にくるなんてカッコいい」と声をかけられちゃったりと、店々によって職人さんも客層も雰囲気も全然違って、女ひとり寿司、なんだかめちゃくちゃ楽しそうです。

 私もいつか湯山さんのように、ひとり寿司をこんなにも楽しめちゃうかっこいい女になりたい! と強く思ったのでありました。

 


寿司屋に男のイメージがつきまとう理由とは

サイアクだった女ひとり寿司初体験が、湯山さんをひとり寿司の世界へと誘います

雰囲気が違う!『銀座 久兵衛』

一度は行ってみたい。築地の『大和寿司』