多様な選択肢の中から教育を選べるゆたかさ

更新日:2011/9/5

アメリカ―最強のエリート教育

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:釣島平三郎 価格:756円

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日本にいたときは自分が受けてきた日本の学校教育しか知らなかったので、教育とはあのようなものだと思っていた。日本では文科省が教科書まで決めてしまうので、全国どこに行っても、公立だろうと私立だろうと教育内容にほとんど差がない。
  
一方、アメリカの教育は本当に多様だ。この本のタイトルにあるようにエリート教育もあれば、保護者が家庭で子供の教育を行うホームスクールも認められている。日本のようにすべての子供に万遍なく一定レベルの教育を授けるより、子供の個性や能力を伸ばし、興味のあることをどんどん勉強させることにウエイトが置かれているからだ。

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エリートだけが優遇されることには賛成ではないが、選択肢のひとつとして、ただの偏差値エリートではない、ノーブレス・オブリージュの精神が身に付いた、全人格的なエリートを目指す教育ならあってもいいと思う。もちろんアメリカの学校教育にもいろいろ問題はあるが、選択肢が多いという点ではうらやましい。
  
何年も前のことになるが、ニューヨーク在住30年の女性が「アメリカには、大富豪で才色兼備、しかも人格も優れて誰からも好かれるというような、本当に非の打ち所のない人がいるのよねえ」と、ため息まじりに言ったことがある。そのときはそんなものかと思っただけだったが、あれから約10年ニューヨークに住んでみて、たしかに日本と比べると、そういうエリート(偏差値エリートではない)がニューヨークには多いという印象をもつようになった。アメリカのエリート教育が実を結んでいるということになるだろうか。日本の学校教育は時代に合わなくなってきているような気がする。さまざまな教育のあり方に目を向けてみるのに、本書は役立つと思う。
  
本書の趣旨とは関係ないが、細かいことで気になったのは、「父兄」という言葉。父母と父兄を意識的に使い分けているようでもなく、父母、または保護者というべきところで、ときどき「父兄」が出てくる。子供の頃の「父兄参観日」という言葉になじみのある著者がうっかり使っているのだと思うが、この本に限らず、父兄という言葉を見る度に、母姉に対して失礼な言葉だと思わずにはいられない。また、ジョブディスクリプション(職務内容記述書)、テラー(銀行の窓口業務)など、日本ではなじみのない言葉に対して説明がないのが、やや不親切に思えた。

本書では、いわゆるエリート教育だけでなく、多様な才能教育について語られる

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