知ってるつもりで使っている日本語。いろんな角度から見つめてみると意外な発見が

小説・エッセイ

2011/8/18

対談 日本語を考える

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 中央公論新社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:大野晋編 価格:432円

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日本語は言葉として若い。そんなふうに日本語を見たこなどなかったので、そういう見方は新鮮だった。

なんとなく、日本語は古い歴史があるように思っていたが、日本語は言葉としては若いそうだ。なにしろ、おとうさん、おかあさんという言葉ができたのが明治時代。しかも、役所が作ったという。それが日本全国津々浦々まで行き渡り、今ではみんな役所の思惑通り、おとうさん、おかあさんと言っている。

私はもともと言葉に関心があり、しかも外国人に日本語を教える立場上、日本語と英語を比較しながら考えることが多いので、ますます言語というものや文法というものに興味がわくのだと思う。だからタイトルに「日本語」とつく本は手に取ってみたくなる。

日本語を教えていて生徒によく聞かれるのが、助詞の「が」と「は」の違い。日本語教師用の本などにも簡単にしか書かれてないので、試行錯誤しつつ、自分なりに説明のノウハウを蓄積してきたが、おもしろいのは、この対談の中で、「日本人は「が」と「は」の区別を間違えないで使っているから、その背後には原則があると思います。それを言語学の立場から明快に説明してほしいものです」などと発言している人がいるのだ。この本が書かれたのは1975年で30年以上も前とはいえ、当時、「が」と「は」の区別を明確に説明した言語学者はいなかったことになる。ちょっとびっくり。

また、コンピュータ時代になったら、漢字を使う今の日本語表記ではコストがかかりすぎて欧米に太刀打ちできない、というようなことを心配している発言もあるが、今読むと隔世の感があるというか…。当時はマジでそういう心配をしていたのだろうが、テクノロジーはやすやすと日本語のコンピュータ化を実現してしまった。そういう意味で、やや時代を感じる部分もあるが、おかげで、30年前と今でさえ言葉や言葉の捉え方が変化していることがわかって、それもおもしろい。

「ぞ」、「なむ」、「や」、「か」の係り結びは本来倒置表現だったことや、現代日本語では、過去に関する助動詞は「た」しかないが、古典語には「き」、「けり」、「ぬ」、「たり」、「り」とたくさんあったなどなど、なるほどと思う部分が多かった。高校時代は古典文法が大嫌いだったが、こうしてみると古典語の文法もおもしろい。単におもしろいだけじゃなくて、言葉を扱うライターとしては、新たに言葉を選ぶ時のヒントが得られたという収穫もあった。

文法に興味がある人は多くないかもしれないが、雑学を楽しむ気分で読んでも十分楽しめると思う。

「漢字を使っていてよいか」…漢字を使わないという選択肢もあるのかと、けっこうびっくり

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おとうさん、おかあさん、という言葉は役所が作った言葉だった