ワンマン体制から集団経営体制へ。任天堂の歴史が詰まったレアな1冊

ゲーム

2014/10/24

任天堂“驚き”を生む方程式

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 日本経済新聞出版社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:井上理 価格:1,337円

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 カプコンのロックマン、コナミのパックマン、セガのソニック、そして任天堂のマリオ…。これらゲーム界のヒーロー達による夢の対戦が実現したゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』の新作が発売されてから1か月余りが経ちましたが、これだけのコラボレーションが実現できたのはやはり任天堂という会社がコンピューターゲーム界の礎を築いた「ゲームの祖」にあたる存在だからなのでしょう。

 そんな天下の任天堂の仕事術を喉から手が出るほど知りたがっている人はたくさんいると思いますが、なんでもこの会社は基本的に取材を受け付けない方針をとっているのだそう、ですがそんな中で本書は数少ない任天堂の経営者達へのインタビューに成功したレアでキチョーな1冊となっているのです。

 ファミコンを発売して以降の任天堂の歴史を語る上で一番の大きなポイントは、この会社にはテレビゲームが世に広まる遥か前から社長を務めていた故・山内溥氏と、2002年から彼の後任として社長となった岩田聡氏による2つの時代があったというところにあるのではないでしょうか。

 本書によると前社長の山内氏はカリスマ性を持った天才型の人間だったそうで、決断をするのも行動をするのも直観的で早かったため、どこよりも早く自社の家庭用ゲーム機、つまりファミコンを世に広めることができたのだといいます。しかもゲーム会社の社長であるにも拘わらず、自分ではほとんどゲームをすることがなかったというのですから、まさに天賦の才に恵まれた人物だったのでしょう。

 対する現社長の岩田氏は綿密なデータを基に戦略立案をしていく努力型の経営者と言えます。元々はHAL研究所のプログラマーで外部から来た社長だったということもあり、それまでワンマン体制だった経営方針を集団経営体制に変え、多忙を極める中でも社員との面談は欠かさず行っているというのですから、言ってみれば両者は間逆の個性を持った経営者だと言えるのです。ですが岩田氏は山内氏から“任天堂イズム”というものをしっかりと受け継いでおり、それを基にニンテンドーDSやWiiを開発して一度は衰えた勢いを取り戻してゲーム界のトップへと返り咲くことに成功しているのです。

 本書を読めばゲームをプレイしているだけでは気付くことのできない、“遊び”を提供するゲーム業界の裏側で繰り広げられていた“遊びではない真剣勝負”についても知ることができます。ゲーム好きにもビジネスマンにもオススメの1冊となっていますのでぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

 ちなみにマリオは元々“ポパイ”の代役として急遽考えられたキャラクターなんだって! へぇ~。

・構成★★★★
・切り口★★★★
・実用性★★★★
・分かりやすさ★★★★
・ファミコンまたやりたくなり度★★★★★


現・社長の岩田聡氏。自身で宣伝活動も行っているため、今や有名人とも言えます

そして前社長の山内溥氏。ゲーム会社の社長とは思えない程の風格です。怖いです

岩田氏は山内氏をこのように評しています。これだけでもいかにスゴイかが伝わってきますね

マリオ誕生秘話が書かれたページ。本書を読むまで知らなかったとは不覚です…