制約ゆえに研ぎ澄まされた「辛口」&「本質」が、鋭く世の中を斬る!

更新日:2011/9/5

上杉隆の40字で答えなさい

ハード : iPhone 発売元 : DAIWA SHOBO CO.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:700円

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本書はただの時事・社会分野の問題集ではありません。日本人が画一的なマスコミ情報に接する中で、理解や思考が画一化することを食い止めようとする著者の上杉隆氏の鋭く、熱い想いのこもった「用語解説集(!)」なのです。
  
上杉氏は衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て活躍中のジャーナリスト。ダイヤモンドオンラインには「週刊・上杉隆」の連載を持っており、独自の切り口で「永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト」として紹介されている人物です。

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本書における最初の問いが、「記者クラブ」とは何か?(40字で答えなさい)、であることには、大きな理由がありました。それは、日本人がマスコミから得ている情報にはフィルターがかかっており、その元凶とも言うべき存在が「記者クラブ」であるというのが、著者の主張だからです。
  
そして記者クラブが流し続けてきた、統治機構(=政府や役所など)にとって都合のいいように解釈された情報に対して、上杉流に本質を問いかけています。上杉氏は「日本のマスコミの情報にギモンを持て! そのための知識として本書を活用して欲しい!」というメッセージを送っている! とふとけんは解釈しました。
  
本書の大テーマは「日本の政治」「国際政治」「社会の問題」の3つから成り立っており、合計43問が出題されています。
  
たとえば問題02 「国会議員」の仕事とは何か? に対する回答は、読者の皆さんだったら以下のどっちを選びますか。
  
①国会議員の仕事は法律を作ること。また時代に合わなくなった法律を変えること。
  
②一年生議員の仕事は二年生議員になること。二年生議員の仕事は三年生議員になること。
  
では問題29 「ODA」の目的とは何か? はどうでしょうか。
  
①政府開発援助。開発途上国のために先進国の行う資金援助や出資のこと。
  
②日本の場合は公共事業を増やすため。中国の場合は外交のカードとして使っている。
  
最後に問題33 「裁判員制度」が始まった理由とは? はどうでしょうか。
  
①国民が裁判に参加することで、民意を裁判の内容に反映させられるから。
  
②仕事が減って予算の獲得が難しくなってきた法務省が自分たちの仕事を作ろうとしたから。
  
ふとけんが雑誌編集者時代に一緒に仕事をさせていただいていた時事問題の先生は、米国で勉強されて帰国された方でしたが、世の中を同じような見方・切り口で解説されていました。本書を一読して、新聞やテレビのニュースに「本当かぁ?」とギモンが沸く人が増えたら、日本の民度が上がってきていることは間違いなさそうです。

用語解説が充実していることは、本書の大きな特徴です。本文中に青字の用語と*マークが出てきたら、*マークをタップしてみましょう。写真のような用語解説画面が出てきます。「機密費」「ロビイスト」から「親方日の丸体質」「宇野宗佑総理の愛人問題」まで、幅広くカバーされています

本書に登場する図やイラストはわかりやすさ優先(!)でできていて、社会の仕組みにあまり強くない人でも簡単に理解できます。それにしても、外交官や行政官出身の枠があって最高裁の判事が選ばれているなんて、ふとけんは法学部卒ですが恥ずかしながら知らなかった~っ

上杉氏のつぶやきもフォローしてみると、本書に限らず、日々起きている政治や社会の現象について新たな視点が得られる。最近では、「原発・東電問題」「放射能汚染問題」「菅総理の進退問題」など。「なでしこジャパンは国民栄誉賞の辞退を」との主張もあります。皆さんはどう感じますか?