21世紀も10分の1が過ぎたが、さて、20世紀とどこが違うのだろう?

小説・エッセイ

2011/8/23

二十世紀(上)

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 筑摩書房
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:橋本治 価格:702円

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21世紀になって10年以上たち、そろそろ20世紀を客観的に振り返れる時期に来ただろうと思ったことと、自分が生きてきた20世紀とはどんな時代だったのか知りたいと思っていたときに、本書が目に留まった。

私は高校時代、歴史が苦手だった。大学受験のための歴史の勉強のアプローチといったら暗記。これで歴史が好きになるわけがない。この本が私の高校時代に出版されていたら、もっと歴史に興味を持てたかもしれない。上下2巻でけっこうなボリュームにも関わらず、橋本治氏の文体が好きなこともあって、一気読みした。

20世紀を1年ごとに振り返っていくという構成で、その年に起きた主な事件を取り上げつつ、風俗やその時代の気分というようなものにまで言及している。どっぷりとその時代に浸かって生きている時は、リアルタイムで起きていることにどんな意味があるのか気づくことができないが、しばらくたって大きな流れの中で見てみると、その前後の時代とつながっているのがわかってくる。もちろん、そんなふうに歴史を読み解くことができるのは、橋本治というナビゲーターがいるからだ。

橋本治のアプローチは一般的な歴史学者の解釈とは違うかもしれないが、歴史学者ほど客観的、アカデミックになりすぎず、適度に主観的なところが自分の経験や当時の気分とも重なって、どんどん読めた。

歴史なんていうと大きすぎて、個人の生活と密接なつながりを感じにくいものだが、大きな時代の流れを自分なりに把握しないとよりよくは生きられないと思う。そういう意味で、多くの人にぜひお勧めしたい本だ。

20世紀だと言われている世紀は、橋本治によると19.9世紀とか19.8世紀である

18世紀後半~19世紀にかけてに起きた産業革命は、人間に「作りすぎたからいらない」という知恵を与えず、「作ったものは、全部、押し付けてでも売れ」という暴力を生んだ--しかも、そのコンセプトはいまだ健在