甲子園出場を目指すある進学校の野球部、10年分の涙の歴史
更新日:2012/3/2
あのミリオンセラー『もしドラ』(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)の著者2冊目の作品にして、『もしドラ』の原点。
『エースの系譜』は、じつは13年前に原稿が完成しており、紆余曲折を経て、ようやく日の目を見た。
甲子園出場を目指すある進学校の野球部10年の歴史と、歴代エースの苦難と悲運が描かれています。
文体は、小説というより、まるでどこかの野球部で起こった事実を書き記しているのではないかと思える、リアリティ溢れる独特な記事テイスト。スポーツ雑誌『Number』に掲載されている記事のように仕立て、フィクションとノンフィクションの境目が曖昧な作品にしたいという著者の目論見が成功しています。
ところで、考えてみれば、春のセンバツや夏の甲子園で優勝できるのは1校だけなんですよね。しかし、それ以外の学校にも、それぞれの涙のストーリーがある。
高校生の人生はまだまだ先が長い。社会の入り口にすら、まだ立っていない。勝利はもちろん素晴らしいものだけれど、敗北から学べることも多い。本作で描かれるのは敗北の歴史ですが、その積み重ねの結果、野球部が着実に成長し続ける姿を通して、青春の汗の価値が物語られていると思います。
進学校だからこそ、文武両道をうたう学校は多い。勉強でもスポーツでも、人より秀でるためには精神の研鑽が必要で、文武両面に打ち込むことで相乗効果的にどちらも高められる、という考え方が根底にあります。
勉強の汗であっても、スポーツの汗であっても、かいた分だけ将来の糧になる。勝利も敗北も、自分を磨いてくれる。だからこそ青春は素晴らしい。
あなたはどんな汗を流しましたか?
どんな汗を流していますか?
歴代エースを中心に、野球部の苦難と成長が描かれる
電子書籍ならではのリンク機能(#◯)で、注釈に飛ばしてくれる。注釈が多い本作ではとても便利!
本作の注釈は、物語を深く読むために、できるだけ目を通しておきたい