壇蜜の私生活をお上品に覗き見! 興奮すること間違いなしの日記の内容とは

小説・エッセイ

更新日:2014/11/12

壇蜜日記

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 「諦める」というのは、仏教的には、「悟る」という意味を持つという。そう聞けば、意地を通すことばかりが正しいのではないのだと気がラクになった心持ちがするだろう。タレントの壇蜜が日常生活を綴った『壇蜜日記』には、何かを諦めたような雰囲気を漂わせている。愚痴をいう日もある。寂しい日もある。

 だが、彼女が書く文が浮かび上がらせるのは、何かを悟りきったような視線で世の中を見つめる彼女の姿だ。そこにどういうわけだか、艶かしさを感じてしまうのは、いけないことなのだろうか。彼女の生活を垣間みるほど、男性はもちろんのこと、女性までも静かなる興奮を感じてしまうのはなぜだろう。短い日は1行、多い日も2ページちょっと。そんな短い文章を読んでいるだけなのに、そっと小窓から私生活を覗き見ているような背徳感を覚えるこの本は、読む人を壇蜜ワールドへと惹き込んでいく。

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 『壇蜜日記』には、2013年10月から2014年の8月までの彼女の私生活が公開されているが、これは、彼女がいつも入浴中に、iPadで描いたものだという。壇蜜の生活には、黒い熱帯魚と猫の存在が欠かせない。多くがペット達とのありふれた日常を描いている。バクテリア不足で熱帯魚の水槽が濁ってしまった時や愛猫「おキャット様」が避妊治療をする時の不安なさまはペットを飼っている人間ならば、共感することだろう。

 アラサーの女の生活は何だか切ない。かと思えば、「昔お世話になったラブホテルは健在でほっとした」とか「嘘つき。アンナミラーズのバイトとSMに夢中だったくせに」などということをさらりと書いてしまうのだから、不意をつかれて胸がドキンとする。

「いびきの恋人に睡眠時間を奪われたような目覚めの悪さだった」
「ヨーグルトのカップを覆うフタを舐める権利と風呂屋に行く権利は奪われたくないものだ」
壇蜜の筆力は圧巻。ぽつりぽつりと語られる言葉を読んでは、その感性の豊かさと表現力に魅せられることだろう。

私服はボーイッシュだったり、相撲が大好きだったり、実は下戸だったりする壇蜜。彼女の意外な私生活が見えたり、過去の恋愛が見えそうで見えなくて歯がゆい思いをしたり…。彼女は読者の心をどれだけ惑わせれば済むのだろうか。お上品な覗き見。あなたもこの本でしてみてはいかがだろうか。


壇蜜の仕事への思いも感じられる

短文なのに、グッとくる

英語の教員免許を持っているという意外な一面も

壇蜜の過去が気になる