子どもたちの知略と団結力…「ギャングエイジ」最後のきらめき
更新日:2012/2/10
10代の支持を集め続ける「ぼくらシリーズ」の記念すべき1作目。
私は友人に借りて中学生のときに読み、以後、続編を集め続けました。映画では中山ひとみ役の宮沢りえがフレッシュでとても可愛い。子どもだけの国があればなぁ、などと憧れたことはありませんか? その国に、大人は絶対に入れないのです。
この物語の主人公である中学1年2組の子どもたちは、とある工場跡を「解放区」と称して立てこもり、親や教師など大人たちに宣戦布告をします。やがてはマスコミ・メディアも巻き込んで…タイトルどおり、七日間を戦い抜きます。
子どもが大人にしてやったりの物語は世にたくさんありますが、『七日間戦争』をよくある児童文学や青春小説と甘く見てかかるなかれ。なにかと大人に物申したい多感な青春時代初期の子どもたちが、「学生運動」「解放放送」「バリケード」「全共闘」などのやや過激ワードが乱れ飛ぶ中で、知略と団結力で一心不乱に体制へと挑みかかります。この青春そのものともいえる爆発力が、ロングセラーの要因でしょう。
小学校の中学年から高学年の子どもたちは、発達心理学の世界では「ギャングエイジ」といわれ、家族より仲間で組む徒党集団を大切にするようになります。これが中学生になると、「チャムグループ」という、より“気の合う”友人とだけ付き合うようになり、異性を意識する反面、反発し合うようになるのですが、『七日間戦争』は、「ギャングエイジ」時代の最後の輝きを見せてくれているように思えるのです。
つまり、多少は気が合わなくても、やや異質の相手でも、たとえ異性であっても、目的を共通してなんとか一致団結してことに当たれる。そのはかなくも美しい力強さが、夏の線香花火を彷彿させて、とても愛おしい。
もしかしたら、子どもたちは、薄々気づいているのかもしれません。自分が大人になりつつあることを。大人への宣戦布告は、そんな自分自身に対しての必死の抗いではないか。感情移入のあまり、そんなことを考えてしまったり。
戦いの幕が切って落とされる1日目
全共闘時代の親
「おれたちだって、力を合わせればおとなと闘えるさ」
細かい地図や文字も、電子書籍ならではの「ピンチイン」「ピンチアウト」操作で、拡大縮小が思いどおり
ページをめくると…ドーンとこのインパクト