バツイチ女45歳に訪れたもの
更新日:2014/11/26
たかこは、母と暮らすバツイチの45歳。アパートの大家である母親はたかこの調子の良い振る舞いに振り回される。一方で、たかこは自分の暮らしに絶望しすぎずに生きている。たかこは前夫と共に暮らしており、たまに彼女のもとを訪ねる。たかこは深川から自転車で新大橋を渡り、社員食堂のパートに通っている。たかこは自分から積極的に交流をはかることはしない。趣味の話を楽しむ同僚たちを少し気にしながら、黙々と自分の作業をしている。
ある夜、たかこが隅田川のほとりでひとり、酒を飲んでいると近くの居酒屋の主人に声をかけられる。たかこは子供の頃から人との交流が苦手で、それで学校や近所付き合いなどがうまくいかず、フレンドリーな主人にも警戒してその場を逃げるように帰ってしまう。けれど少し気になり、後に店を訪れる。たかこのことをあまり覚えていない“モテそう”な店主と、それを手伝うしっかりものの甥。やっぱり簡単に打ち解けることはないけれど、ちょっとだけ新しい人間たちの様子を垣間見るたかこ。
そんな彼女の日常にもうひとつ新しい要素が入ってくる。偶然ラジオで知った、ある若い歌手の存在。パーソナリティをつとめながら、喋りがやけにたどたどしかったり、コミュニケーションが得意ではないことを打ち明ける彼にたかこは親近感を覚える。そのうちに、ある感情が彼女の中に生まれる。若さに頼らず、自分が歩いてきた道が見渡せる世代だからこそわかる風景が綴られており、世のがんばる年代が共感できる物語なのだ。
自分のコミュニケーション能力、気になります
「夜にやられる」日だってある
たどたどしいDJに思わず笑うたかこ
懐に入ってくる系の人にはちょっと戸惑う