正和&亜紀子夫婦はマンガ界の至宝だ! 古都鎌倉が舞台の人情ミステリー!

公開日:2011/11/1

鎌倉ものがたり (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 双葉社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:西岸良平 価格:500円

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今回電子版で久しぶりに『鎌倉ものがたり』の第1話を読み返して、「西岸良平先生、すごいなあ!」とあらためて感嘆してしまいました。「WEEKLY漫画アクション」誌上で『鎌倉ものがたり』の連載が開始されたのは1984年。実に25年以上も前のことですが、ノリも絵柄も、今日とほとんど変わっていないのですよ。

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初登場時から今日まで、『鎌倉ものがたり』はずーっと変わらずほのぼのし続けています。考えてみると、これはものすごいことです。正和と亜紀子のカップルも相変らず初々しいままだし、鎌倉という町の魅力もまったく目減りすることなく現在にいたっています。 西岸良平、おそるべし。まさに国宝クラス、無形文化財クラスのマンガ家といえるのではないでしょうか?

ストーリーはいたってシンプル。古都・鎌倉で巻きおこるさまざまな怪事件を、推理作家の一色正和が妻・亜紀子と解決してゆくというミステリー作品です。長い歴史をもつ町だけに、河童やタヌキ、亡霊などが関わっている事件も多く、ホラーやファンタジーの要素も愉しむことができますが、ベースにあるのは人情話。殺人事件を描きつつ、ホロリとさせたり、ジーンとさせたりするエピソードを多く含んでいます。

読みどころは何といっても、一色夫婦の微笑ましい生活でしょう。いつも明るく、ノンキな2人の暮らしぶりを眺めていると、思わず頬がゆるんできます。食事に行ったり、浜辺を散歩をしたり、お金持ちでも派手でもないけど、2人の暮らしは実に楽しそう! ゆったり時間の流れる町でこんな生活を送ることができたら幸せだろうなあ、としみじみ思わされました。いいよなあ。マンガ界屈指の名カップルだと思います。

第1巻には、正和と亜紀子の馴れ初めを描いた「あこがれの街」から、正和が亡霊と剣道の試合をすることになる「たたり」まで、15のエピソードを収録していますが、いずれもハズレなし。第1巻からいきなりオモシロイ。西岸良平、やっぱりおそるべし、なのでした。


第1話扉ページ。これが主人公の一色夫妻

童顔の亜紀子、学生に間違われてガックリするのシーン

小説の〆切明けは2人で外食。鎌倉ライフを満喫してます

夫の浮気を疑い、泣きだしてしまう亜紀子ちゃん。けなげやのう

旅行にでかけてはしゃぐ亜紀子。こういうシーンが『鎌倉ものがたり』の魅力 (C)西岸良平/双葉社