全シュールを過去にする!? 異次元ギャグ連発の、破天荒女子高生マンガ!
公開日:2014/12/5
日本人は諸外国に比べて、空気を読む民族だと言われます。幼少期から“思いやり”を教育され、とりあえず自己主張を抑え、多数の流れを伺うのが賢明という風潮があります。一種の美徳のようでもありますが、なんでもそれが、一大ストレス社会を形作る1つの要因になっているのだとか…。多数に対して間違うことや脱線すること、外れることを嫌う我々は「自由はおろか有給さえもろくに取れない」というわけです。
無論、一概に空気を読むことが良くないとは思いません。度を越さなければ十分に美徳です。ただ同じくらいの割合で、外れていくことや主張することも美徳になりうるはずだと思うのです。
きっと、本作はそんな事を教えてくれるでしょう。…たぶん。
舞台はとある高校。そこへるみちゃんこと、郁野るみが転校してきます。女子高生の日常マンガ! と、喜ぶのは早すぎです。このるみちゃんが相当の曲者。彼女の繰り出すウルトラ・シュールなギャグの数々は華麗に予想の斜め上をいきます。タイヘンヘンタイな女子高生なんてカワイイものではなく、もはや宇宙人。
「アブラモノにハマってる」といってサラダ油を直飲みしたり、金魚すくいの金魚「モナカと食べる京料理」と称して食べたり、どうみても裸のおっさんである女子高生の妖精と交流したり…。ギャグマンガという予定調和をことごとく破壊する展開が連発。展開の振り幅、自由さには底知れぬパワーを感じます。
以前レビューした諸星大二郎著「栞と紙魚子の怪奇事件簿」シリーズもなかなか振り切れた女子高生漫画でしたが、本作も負けていません。また、ふみふみこ著『女の穴』にも宇宙人女子高生が登場しますが、これにも負けていません。
そんな破天荒ガールのるみちゃんですが、読んでいく内になんだこう、愛おしくもなるのが不思議です。普段抑圧している逸脱への願望を“増し増し”でオツリまでつけて叶えてくれるるみちゃんは、きっとストレス社会に舞い降りた破壊と創造の天使なのです。
本作を読めば、有給を取るなどという和の逸脱は鼻クソ同然。笑い飛ばして、今すぐ宇宙旅行にでも行くべきです。さぁ、読むべし! 明日からレッツゴー脱線! ヤー!
寝ぐせが直らないるみちゃん。やや粘り気あり
お弁当を頑張ってつくったるみちゃん。充実した余白
階段から落ちて記憶喪失のるみちゃん。真実を思い出す。(人類にとっての)