松本零士の新たなる青春の旅立ち。999の次にやってきた列車

コミック

2011/9/4

漂流幹線000 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 :
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:松本零士 価格:324円

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言わずと知れたSFコミックの大家である松本零士の作品。
  
TVアニメ「銀河鉄道物語―永遠への分岐点― 」の脚本に関わった私なので、この作品は以前から知っていた。数字が三つ並んだ列車の話ならば、手に取るのは必定である。

主人公は夜空ばかり眺めている、夢見がちな中学生、大山大。彼が土曜日、近所の古湖野駅から13時13分発の特急000に乗り、他の次元へ旅する話である。そして特急000は、日曜日の深夜0時0分0秒にまた駅に戻ってくる。999のように各惑星の駅に停車する長旅ではなく、毎週土日、別次元への往復である。
  
特急000は、999のようなノスタルジックさは薄い。車輌内も、特急席でリクライニングシートである。しかも、メイビスという若い女性が旅を案内してくれ、その妹のメイヒスとメイビクが売り子として、お酒やお菓子を座席まで運んでくるというサービス付き。
  
そして、主人公と一緒に旅する美女は、担任の女教師・平田静子。この平田先生がまさに破天荒。酒乱で、生徒を殴るわ、年上に悪態をつくわ、教室で下着姿になるわの姉御肌。清楚なメーテルとは正反対。松本零士作品には珍しい女性キャラなのである。彼女が大山と旅するわけなのだから、道中会話は漫才要素が強い。
  
またこの作品では、女教師・平田先生が教壇に立つ教室でのシーンが多い。他の中学生達はみんな楽しそうで、そこには999のような暗さはない。999が浪人のような四畳半生活からの旅立ちだとすれば、000は学園生活からの旅立ちだといえよう。
  
だが、物語は青春の旅だけでは終わらない。次元をまたにかけた戦争へと発展していく。そして明かされるメイビス、メイヒス、メイビク三姉妹の正体。私の推察だが、特急000は999劇場版に登場した、あの列車がモチーフになっているのではないか。その要素だけでも、999の続編としての資格はあると思う。
  
大人まで青春していて、青春が氾濫している現代。この作品は、ある種、昔ながらの学園青春モノ、すがすがしい青春の形を残している作品なのかもしれない。
  

特急000のフォルムである。多くの方が一番興味あるのが、メカニック設定ではないだろうか

別パースからのフォルム。999とは趣きが異なる。白が基調。やはり0系がモデルなのか?

正面パースからのフォルム。555や777とも違うイメージ

向かい合わせの席でないところが、この作品の全てを物語っていると考える。現代的だ

少年と先生を乗せて、列車は走る。風景は星の海ではない (C)松本零士/零時社