太平記をわかりやすく、楽しく知りたい歴女にどうぞ

更新日:2011/9/6

太平記

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : くもん出版
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:平田喜信まんが 価格:540円

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横浜国立大学教授であった平田喜信の監修、森藤よしひろ作画による「太平記」を忠実に再現したコミック。

 
歴史好きの人には釈迦に説法ではあるが、念のために。 太平記とは、1318年、後醍醐天皇の即位から鎌倉幕府の滅亡、そして建武の新政の失敗と南北朝分裂、後醍醐天皇の崩御。それから足利幕府内部の混乱、後村上天皇、足利義満の時代まで、約50年におよぶ南北朝の動乱のさまを描いた軍記物である。

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軍記物と呼ばれるものには、そもそも歴史上の合戦を題材としただけで、事実を忠実に記した書物ではないものもある。あくまで、武勇伝や恋愛などを後世に伝えるための物語、つまりフィクションと言えるものだ。しかし、部分的に誇張されてはいても、史実通りではあるため、合戦時の時代背景を探る資料としては、大変有用である。

 
物語導入部では、やはり後醍醐天皇が主人公的な役割を果たす。倒幕の協力者・日野俊基、子息の大塔宮も当然登場。そして後醍醐天皇の夢から発した楠木正成登用、大塔宮の経櫃など、有名なエピソードも描かれている。

 
中盤からは足利高氏(尊氏)、新田義貞、高 師直など南北朝動乱期の武人が登場し、戦記要素の強い群像劇が繰り広げられるのである。

 
南北朝時代にあまり詳しくない人には入門書的であり、私のような「太平記」ファンには資料としてありがたい。そして、なにより物語としても面白いのである。このコミックで、歴史好きな人がまた生まれるに違いない。

 

登場人物その1。歴史的に有名な方々ですね

登場人物その2。コミカライズのため、美形度の高さは前もって御承知ください

場面と合戦の地図が詳しく記載されているのはありがたい

皆が平和、つまり太平を望まなければならない情況こそが、この物語の発端であり、歴史的な元凶だったわけです

実は天皇が主人公の物語は歴史上、稀少なのである (C)平田喜信・森藤よしひろ・西田節夫・ぱぺる舎/くもん出版