実写映画が待ちきれない! のぼう様にうっかり惚れてまう、コミカルな大河ロマン

小説・エッセイ

更新日:2012/3/5

のぼうの城 上

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 小学館
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:和田竜 価格:486円

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あまりに話題だったので「ふふん、そんな前評判には乗らなくてよ」と斜にかまえて読み出したものの、中盤まんまと涙しそうになり、すっかりのぼう様の虜になってしまったミイラでございます。

冒頭はわりと時代小説然としていて「あれ聞いていたより真面目だな」なんて思ったりもしましたが、読み進めていくほどに「キャラ立ちしていて面白い」の意味がわかる。これね、いい意味でNHK大河ドラマなんですよ。だから実写化も大納得! 超楽しみ!

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百姓たちからでさえ役立たずと笑われ、でくのぼう=「のぼう様」と呼ばれる成田長親は当主の従兄弟。ただしその人柄ゆえにとってもとっても愛されています。

領主・成田家がおわす城は、周囲を湖に囲まれ、浮城とも呼ばれる忍城。ここを落とそうと目をつけたのが、天下統一をめざす豊臣秀吉です。そして彼を崇拝してやまない石田三成が、この忍城攻略に乗り出す…といういわば合戦がこの小説の主題。

ただしこの戦、最初から成田家の敗北は目に見えています。自分たちや領民を守るには投降しかない、けれど城は守りたい。負け戦とわかっていて、どう出るか。挑むか下るか…このあたりのジレンマが読みどころのひとつ。

チャンバラシーンあり、偲ぶ恋あり、駆け引きあり。

楽しいです。そしてその肝となるのが、のぼう様のキャラクター! じつは彼自身が「語る」シーンはなく彼は常に客観視されているのですが、それゆえに、「はたして彼はうつけか奇才か?」と悩む周囲と同様に翻弄されてしまうのです。気づけばのぼう様の魅力の虜! 彼をかばって百姓たちが立ち上がるシーン(ネタバレ御免)なんて涙が出ます。

そう。時代小説なんですが、ハートウォーミングなんですよ。そうそう、こうでなくっちゃ! という「あるべき定型」を押さえつつ、裏切ってくれもするところが人気の秘密なのだなと大納得。

映画(⇒オフィシャルサイト)も楽しくなりそうです。犬童一心監督がどうアレンジするのか、はもちろんなんですけど一番の楽しみは榮倉奈々の甲斐姫! かわいい! それに片想いする酒巻=成宮寛貴、胸きゅんすぎる!

絶対に観にいこうと決意しつつ、市村正親演じる豊臣秀吉の出番が増えてくれることを願う近ごろなのでした。

湖に浮かぶ城、というフレーズだけでちょっとわくわく

石田三成のこの野望、はたしてかなうか!(ちなみに実写は上地雄輔…)

合戦の幕開けに、冒頭から胸がおどるのです