今年ももうすぐ「除夜の鐘」…。池上彰のわかりやすい「仏教」のはなし

キリスト

2014/12/28

池上彰と考える、仏教って何ですか?

ハード : 発売元 : 飛鳥新社
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 南無阿弥陀仏と妙法蓮華教はどう違う。大乗仏教に小乗仏教、チベット仏教、タイ仏教、密教もある。これらは日本の仏教とどう違う。仏教と神道は。仏教に創造主はいる?豚肉を避けるイスラム教のように仏教にもタブーはある? 曹洞宗、真言宗、臨済宗、浄土宗、浄土真宗、日蓮宗、宗派もいろいろあって、仏教オンチ、宗教オンチには、仏教ってこみいって、とてもめんどうそう…。そこで、池上彰さんが登場です。池上さんが、仏教をわかりやすく解説してくれます。

 本書は3部構成。1章は、仏教の基本について。キ―ワードは「諸行無常」「諸法無我」「一切皆苦」「涅槃寂静」の4つ。むずかしそうな「四文字熟語」が並びますが、それらは、あらゆるものは変化する、煩悩と苦しみの関係、仏教のめざす境地のことなどで、わかりやすく解説されています。2章は、チベット仏教の高僧タムトク・リンポチェとダライ・ラマ法王へのインタビューです。仏教の教えのほか、大震災や原発、仏教と科学のかかわりなど、幅広く考えを聞くことができます。3章は、著者自らの宗教体験やさまざまな死との出会いを通して、今日の日本の仏教に思うこと。先の高僧と法王の言葉を振り返りながら、生きるために役立てる仏教の提案です。

 テレビで著者の解説を見聞きした、あるいは著作を読んだその視聴感や読後感は、つかえていたものがすっかり落ちたような、痒いところを思う存分かいたような、いつも気持ちのいいすっきりした気分です。本書は、仏教がすっきりわかるとともに、1章では説明力・解説力、2章では取材力・インタビュー力、3章ではまとめ・総括力と、著者の「力」もすっきりよくわかります。「この世を創った絶対的な神様などはいない。宇宙には始まりも終わりもない――こうした仏教の世界観は、信仰をもっていなくても受け入れられるものです」(3章)と著者は述べていますから、本書では「仏力」も味方したかもしれません。

 印象深いのは、ダライ・ラマ法王へのインタビュー(2章)です。とくに「仏教が発展させた心理学を生きるための教養に役立てる」とのメッセージで、「自分の心がどのように機能しているのか、そのシステムを正しく知ったなら、自分の感情をより容易に取り扱うことができようになります」(2章)という部分。仏教は、宗教的側面だけではなく、人の心の動き、あり方を説く教えでもあります。仏教を知ることは、自分を知ることです。

 今年ももうすぐ「除夜の鐘」。「ゴ~~~ン」。煩悩のかたまり、まるで自分の煩悩が鳴っているように聞こえます。著者は「煩悩」を、ダライ・ラマ法王の発言から次のように解説しています。「煩悩というネガティブな感情を抑えつけるのではなく、誰にでも本来備わっている愛や慈悲といったポジティブな感情を高めていくことで、克服できる」(3章)と。お葬式のときだけお世話になることから、「葬式仏教」と形容されることもある仏教。本書を読むと、そんな形容をはるかに超えて、仏教が自分のすぐとなりにいるような気持ちになります。


目次から

仏教の基本は「諸行無常」「諸法無我」「一切皆苦」に「涅槃寂静」の4つ(1章)

「仏教は心理学」。ダライ・ラマ法王へのインタビューから(2章)

日本では「葬式仏教」に傾き、仏教本来の教えが希薄化しているといいます(3章)